毎日シャドーイングしているのに話せないのはなぜ|研究でわかった「伸びる力」と「伸びにくい力」

毎日シャドーイングしてるのに、いざ話そうとすると何も出てこないんです。

気持ちはわかります。多くの人が同じです。言葉の学びを調べる研究では、英語力をひとかたまりでは測らず、いくつもの別々の力に分けて見ているんですよ。

別々の力…。じゃあ僕のやり方が間違っているわけじゃないんですか?

やり方の問題とは限りません。研究では、同じ練習でも伸びる力と伸びにくい力に分かれることが、繰り返し報告されてきました。

でも研究で分かっても、僕みたいな独学者に活かせるんでしょうか。

活かせます。研究はこれを才能の話ではなく、どの力にどの練習を当てるかという設計の問題として整理しているんです。
結論: 「毎日シャドーイングしているのに、いざ話そうとすると言葉が出てこない」。この感覚は、練習が効いていない証拠ではない。シャドーイングは、聞こえた音を間を置かずにそのまま声に出す訓練である。頭の中の作業机(= 情報を一時的に広げておく机のようなもの)に強い負荷をかけ、音を聞き取る処理を速くする訓練として整理されている。実際に日本人学習者を訓練して測った研究では、音の聞き分けの精度が上がっていた。さらに 44 件の研究をまとめた報告では、抑揚やリズムに加えて、話すときの滑らかさや詰まりの減少にも改善が報告されている。つまり伸びやすいのは「聞き取り」「発音」「話す滑らかさ」の 3 つである。一方、発話生成のモデルでは、聞く処理と話す処理は別の段階を通るとされる。この整理に沿えば、シャドーイングで自動化されるのは聞く側であり、語彙や文法を組み立てて話す力は別に位置づけられる。ただしこれは設計から導いた理論的な整理で、実際に測って比べた研究ではない。本記事は、シャドーイングの効果を能力ごとに切り分けた研究を横断する。そのうえで「効かない」でも「続ければいつか話せる」でもない線を引く。
この記事でわかること
- シャドーイングが「聞き取る力」を伸ばしやすい理由と、訓練としての設計
- 日本人学習者を実際に訓練して測った研究で、何が伸びて何が伸びなかったか
- 発音の抑揚やリズム、そして話すときの滑らかさにも効くという、44 件をまとめた報告
- 音読との違いと、「自分で文を組み立てて話す力」だけ別の練習が要る理由
1. 「話せるようにならない」は、効いていない証拠ではない
通勤や休憩のスキマ時間に、毎日シャドーイングを続けている。リスニングは少し楽になった気がする。それなのに、いざ英語で話そうとすると言葉が出てこない。
このとき多くの人は、「量が足りない」か「自分に向いていない」のどちらかだと考える。だが研究の側から見ると、そのどちらでもない可能性が高い。
理由は単純である。「英語力」をひとかたまりで考えているからだ。実際の研究は、英語力をもっと細かく分けて測っている。
本記事では、次の4つに分けて話を進める。
- 聞き取る力: 流れてくる音を、遅れずに聞き分けて意味に変える力
- 話す滑らかさ: 詰まらずに、言葉を続けて出せる力
- 発音: 抑揚やリズム、音のつながりの自然さ
- 文法を組み立てる力: 言いたい内容を、その場で文の形にする力
同じ訓練でも、この4つに同じ大きさで効くとは限らない。むしろ効き方は偏るのが自然だ。偏りの向きは、その訓練の仕組みからある程度まで予測できる。
似た話として、シャドーイングが「効くのか効かないのか」という二択の問いがある。これはシャドーイングは本当に効くの?|研究でわかった「効くこと・効かないこと」で扱っている。本記事はそこから一歩進み、効果の中身を能力ごとに分ける。
ここまでのまとめ: 「話せるようにならない」という感覚は、量や才能の問題ではなく、英語力をひとかたまりで見ていることから生まれやすい。本記事は聞く力・滑らかさ・発音・文法の4つに分けて見ていく。
2. シャドーイングは、そもそも何を鍛える訓練なのか

ワーキングメモリって言葉、よく聞くけどピンと来ないんです。

頭の中の作業机だと思ってください。Baddeley らの記憶研究では、音を置く場所と映像を置く場所が別々に分かれていると整理されています。
シャドーイングは、聞こえてきた音声を、間を置かずに声に出して追いかける訓練である。字幕も文字もない状態で、耳から入った音をそのまま口に出す。
このとき頭の中では、聞いた音を一時的に保ちながら、同時に声に出すという二重の作業が起きている。ここで働く「頭の中の作業机」を、記憶の研究ではワーキングメモリと呼ぶ。
記憶研究の Baddeley らは 1974 年、この作業机が一つの箱ではないと提案した。全体を仕切る司令塔、音を一時的に置く場所、映像を一時的に置く場所に分かれるという整理である。
このうち音を置く場所は音韻ループと呼ばれる。聞いた音を頭の中で繰り返して、消えないように保つ働きを持つ部分だ。耳で聞いた電話番号を、口の中で唱えながら覚えておく感覚に近い。
2000 年には、複数の情報をひとまとめにして一時保存する「まとめ引き出し」にあたる部分も追加で提案された。
この作業机には広さの限りがある。1980 年には、文を声に出して読みながら、各文の最後の単語を覚えておく課題が作られた。大学生 20 名で試すと、覚えておける数は 2 個から 5 個までばらついた。処理と保持を同時にこなせる量には、個人差がある。
シャドーイングを認知的な仕組みから解説した門田修平は、この構図からシャドーイングを説明している。作業机に強い負荷をかけながら、音を聞き取る処理を自動化する訓練だという位置づけである。ここでいう自動化とは、意識して考えなくても勝手に処理が進む状態のことだ。自転車のペダルを、いちいち考えずに漕げるようになる感覚に近い。
そして同じ整理から、こうも述べられている。この設計で直接鍛えられるのは聞き取りの速さであり、語彙や文法を自分で組み立てて話す力そのものではない。
ここまでのまとめ: シャドーイングは、頭の中の作業机に負荷をかけながら、音を聞き取る処理を自動化する訓練として整理されている。設計上、まず伸びやすいのは聞き取りの側である。
3. 実際に測った研究では、何が伸びて何が伸びなかったか

実際に測った研究だと、やっぱり全部伸びていたんですか?

いいえ、割れました。秋田大学の Hamada の研究では、似た音を聞き分ける耳の精度は誰でも上がり、テストの点が上がったのは英語力が低い側だけでした。
設計の話は理屈にすぎない。実際に測るとどうなるのか。
日本人学習者を対象に、実際にシャドーイング訓練を行い、その前後を測った研究がある。秋田大学の Hamada が 2016 年に発表したもので、著者自身が学習者を集めてテストを行い、統計で確かめている。
この研究が確かめたのは、日本国内でよく言われてきた 2 つの通説である。「英語が苦手な人ほど効く」と「音の聞き分けが良くなってリスニングが伸びる」の 2 つだ。著者は、どちらも根拠となる研究やデータが足りないと指摘したうえで、自分で実験を組んだ。
結果は 2 つに割れた。音素知覚(= 似た音を聞き分ける耳の精度)は、英語力が高いグループでも低いグループでも上がった。ざらついたラジオの音声が、少しずつクリアに聞こえてくるようなイメージになる。
一方、高校レベルのリスニング問題のスコアが上がったのは、英語力が低いグループだけだった。耳の精度は誰でも上がるが、テストの点にまで届くのは伸びしろが大きい段階だ、ということになる。
では、自分で文を組み立てて話す側は、なぜ同じようには伸びないのか。流暢さを認知の側から整理した研究が手がかりになる。
そこでは流暢さが、頭の中の処理の速さ・実際の発話の速さ・聞き手が感じる滑らかさの 3 層に分けられ、中核にあるのは処理の自動化だとされている。
自動化された処理は、意識的な注意をほとんど使わずに走る。ただし自動化は、処理ごとに別々に進む。音を扱う処理が速くなっても、言いたい内容を文法の形に組み立てる処理まで、自動で速くなるわけではない。
「リスニングは楽になった気がするのに、言いたいことが文にならない」。このズレは、自動化が処理ごとに別々に進むことで説明できる。
ここまでのまとめ: 実際に訓練して測った研究では、音の聞き分けの精度は英語力に関係なく上がり、リスニングのスコアが上がったのは英語力が低いグループだけだった。組み立ての処理は別で、自動化も別に進む。
4. 発音と「話す滑らかさ」にも、はっきり効く

プロソディって何ですか? 発音とは違うんでしょうか。

歌でいうメロディの部分、声の高さやリズムのことです。44 件の研究をまとめた 2025 年のレビューでは、ここの改善が報告されています。
ここまでの話だと、シャドーイングは聞く専用の訓練に見える。しかし、口から音を出す側にも効きやすい領域がある。
2025 年に発表されたシステマティックレビューがある。世界中の研究を決まった手順で集めて、まとめて見渡す方法のことだ。ここでは 6 つの学術データベースを検索して集められた、シャドーイングと発音指導に関する 44 件の研究がまとめられている。
対象はインドネシア・中国・ベトナムなどの中学・高校・大学の授業や、社会人向け研修まで幅広い。そこで報告されていたのは、話すときの流暢さの改善、詰まって止まる回数の減少、そしてプロソディの制御である。
プロソディとは、一つ一つの音ではなく、声の高さの上がり下がりやリズムのことを指す。歌でいえば、歌詞ではなくメロディにあたる部分だと考えるとわかりやすい。
なぜここに効くのか。レビューでは、シャドーイングの模倣的な性質が理由として挙げられている。聞いた音をそのまま声に出すという行為は、抑揚やリズムをまるごとコピーする作業でもあるからだ。
さらにこのレビューは、聞き手にとっての分かりやすさ、聞き取りやすさ、なまりの少なさにも改善が報告されているとまとめている。シャドーイングは聞く側だけの訓練ではなく、口から出る側にもはっきり効いている。
ただし、効いているのは「出し方」の側である。言いたい内容をその場で新しい文に組み立てる工程は、ここには含まれていない。
つまり、シャドーイングの効果は「ある・ない」では決まらない。何を測るかによって、効果の大きさが変わる。聞き取り・発音・話す滑らかさでは効きやすい。文を組み立てる側で効きにくいという見方は、実測ではなく理論的な整理から来ている。
ここまでのまとめ: 44 件の研究をまとめたレビューでは、シャドーイングは抑揚やリズムの改善、詰まりの減少、分かりやすさの向上と結びついていた。効いているのは「出し方」の側である。
5. 音読と比べると、負荷のかけ方が違う

音読とシャドーイング、そんなに違うものなんですか?

4 週間の訓練を比べた研究では、脳の中で変化した場所が違っていました。同じ筋トレでも種目が変われば効く筋肉が変わる、あのイメージです。
同じ「声に出す」訓練でも、音読はシャドーイングと少し違う。文字を見ながら読むぶん、音を記憶に保つ負担が軽くなると考えられている。
この 2 つを比べた実験がある。4 週間の集中訓練を、くじ引きでグループを分けて比べる形で行った研究だ。
結果、声を出す訓練をした 2 つのグループは、対照群より作業机の成績が上がった。対照群とは、比べるためにあえて同じ訓練をしなかったグループのことだ。ここで使われたのは、少し前に出た情報を思い出し続けるという、記憶を試す課題である。
面白いのは脳を撮った側である。シャドーイングをしたグループでは、左の小脳(= 体の動きの調整に関わる場所)に変化が見られた。音読をしたグループでは、右の前部島皮質(= 体の内側の感覚をまとめる場所)に変化が出た。
言い換えると、2 つの訓練は同じ「声に出す記憶回路」を鍛えつつ、鍛えている場所が少しずれている。同じ筋トレでも、種目が変われば効く筋肉が変わるのに似ている。
負荷の軽さは、注意の使い方にも関わる。文字が見えているぶん、意味の処理に注意を回す余地が残ると考えられている。
ただし、ここは慎重に扱う必要がある。これは訓練の設計から導かれる理論的な整理であって、音読とシャドーイングを分けて語彙や文法の定着度を直接比べた実験の結果ではない。言い切れる実証データは、今のところ見当たらない。
日本では、シャドーイングを段階別に体系化した実践教材のシリーズが広く使われてきた。
なお、通勤時間にシャドーイング・音読・ながら聞きのどれを選ぶかという手法どうしの比較は、通勤時間の英語は結局どれが効くのかで扱っている。本記事は手法の優劣ではなく、一つの訓練が能力ごとに効き方を変える点を見ている。
ここまでのまとめ: シャドーイングと音読は、どちらも作業机の成績を上げたが、脳の中で変化する場所は違っていた。音読が語彙・文法の定着で上回るかどうかは、まだ実証データが足りない。
6. 「聞いて分かる」と「組み立てて話す」は、別の工程

聞けるようになれば、そのうち話せると思っていました。

そう考えたくなりますよね。Levelt の発話モデルでは、話す作業は献立を決めて調理して盛り付けるような別工程を通るとされています。
そもそも、聞くことと話すことは、頭の中で同じ作業ではない。ここを押さえると、能力別の効き方の違いが腑に落ちる。
話すときに何が起きているかを整理した古典的なモデルがある。そこでは発話が 3 つの段階に分けられている。何を言うか決める段階、文法と音の形に組み立てる段階、実際に口を動かす段階だ。
料理でいえば、献立を決める・材料を切って調理する・皿に盛る、という工程に分かれているようなものだ。聞いて理解する処理は、この組み立ての工程を通らない。
前の章で見たレビューが報告していたのは、詰まりの減少や抑揚・リズムの制御だった。処理の自動化が進んだ分、注意を使わずに音を出せるようになったとも読める。滑らかに音を出せることと、言いたい内容を文の形にできることは、別の話だ。
だから、聞き取りが自動化しても、組み立ての工程まで自動で速くなるわけではないと整理されている。ここを鍛えるには、実際に自分で文を作って口に出す必要がある。
この点を早くから主張したのが Swain である。学習者は実際に言葉を発しようとして初めて、自分の知識にある穴に気づく、という考え方だ。聞いているだけでは、その穴は見えない。
後にこの考え方は、3 つの働きとして整理し直された。自分の知識の不足に気づく働き、文法の仮説を試す働き、使った言葉を振り返る働きの 3 つだ。話す練習でしか回らないループがある。
話す練習そのものがどう効くのかは、英語のアウトプットは本当に効くのかで詳しく扱っている。本記事の立場は単純で、シャドーイングとアウトプット練習は競合ではなく、担当が違うということだ。
ここまでのまとめ: 話すことは、内容を決め、文法と音に組み立て、口を動かすという別工程を通る。シャドーイングが伸ばすのは音を出す側で、組み立ての工程は実際に話す練習で回すことになる。
7. この記事が扱っていない話
線引きをしておく。本記事はシャドーイングという一つの訓練に絞り、その効果を能力ごとに分けることだけを扱っている。
たとえば、音声に重ねて同時に声を出す方法との違いや、最初の 1 週間で何をどの順番でやるかという手順は、ここでは扱わない。本記事の軸は「4 つの力のうち、何が伸びて、何が伸びにくいのか」の一点にある。
ここまでのまとめ: 本記事は技法どうしの比較でも、始め方の手順でもない。単一の訓練の効果を、能力別に分解することに絞っている。
8. 何を伸ばしたいかで、練習を選び分ける
ここまでを行動に変える。冒頭で分けた 4 つの力に沿って整理すると、次のようになる。
- 音を速く聞き取れるようになりたい: シャドーイングが素直に効く。特に土台の段階では、テストの点にまで届きやすい
- 抑揚やリズムを自然にしたい: シャドーイングの模倣的な性質が向いている
- 詰まらずに言葉を続けたい: これもシャドーイング側に支持がある。詰まって止まる回数の減少や、分かりやすさの改善が報告されている
- 言いたい内容をその場で文に組み立てたい: ここだけは別。自分で文を作って声に出す練習を足す
4 つのうち 3 つは、シャドーイングが伸ばす側にある。抜けているのは最後の 1 つだけだ。
では語彙や文法を固めたい場合はどうか。文字を見ながら読む音読は負荷が軽いと考えられている。ただし前の章で見たとおり、シャドーイングより定着に効くと言い切れる実証データは見当たらない。確定した結論としては扱わないほうがよい。
大事なのは、この 4 つを 1 つの訓練で同時に満たそうとしないことだ。作業机の広さには限りがある以上、一度に全部へ注意を配ることはできない。
スキマ時間しか取れなくても考え方は同じだ。通勤の往路は音を追いかける時間、帰路は自分で文を作って口に出す時間、と役割を分ければよい。
シャドーイングをやめる必要はない。聞き取り・発音・話す滑らかさの 3 領域では、研究の支持が比較的はっきりしている。足りないのは、言いたい内容を文に組み立てる工程を回す時間のほうだ。
「毎日やっているのに話せない」という感覚は、努力の否定ではない。伸びている場所と、伸ばしたい場所がずれているという、位置の情報である。
ここまでのまとめ: 聞き取り・発音・話す滑らかさはシャドーイング、言いたい内容を文に組み立てる力は自分で文を作る練習。4 つのうち抜けやすいのは最後の 1 つだけである。
よくある質問
Q. シャドーイングは意味がない、ということですか?
A. そうではない。音の聞き分けの精度を上げる訓練としては実証研究の支持がある。発音の抑揚やリズム、話すときの滑らかさにも効きやすいとされている。効かないのではなく、届きにくい領域が一つあるだけだ。
Q. どれくらいで聞き取りの変化を感じますか?
A. 期間は研究によって幅がある。ただし 4 週間の集中訓練で、記憶課題の成績と脳の一部に変化が見られたという報告はある。
Q. 音読とシャドーイング、どちらを先にやるべきですか?
A. 目的で決めるのがよい。音を速く処理したいなら、シャドーイングに実証研究の支持がある。音読は文字があるぶん負荷が軽いと考えられている。ただし、どちらが語彙や文法の定着に効くかを直接比べた実験は見当たらない。
Q. 話す練習は、具体的に何をすればいいですか?
A. 自分の言いたい内容を、自分の言葉で文にして声に出すことが核になる。言えなかった箇所が、そのまま自分の知識の穴として見える。
Q. 作業机の広さには個人差があるとのことですが、変えられますか?
A. 声を出す訓練の後で記憶課題の成績が上がったという報告はある。ただし、覚えておける量にもともと個人差があることも示されている。
まとめ
この記事の要点は 1 行だ。シャドーイングは効かないのではなく、研究の設計から見て届きにくい領域が一つある。
シャドーイングは、頭の中の作業机に負荷をかけながら、音を聞き取る処理を自動化する訓練として整理されている。実際に訓練して測った研究でも、音の聞き分けの精度は上がっていた。
口から出る側にも効く。44 件の研究をまとめたレビューは、模倣的な性質と韻律(= 抑揚やリズム)の改善を結びつけ、詰まりの減少や分かりやすさの向上も報告している。
つまり、聞き取り・発音・話す滑らかさの 3 つは、シャドーイングが伸ばす側にある。
届きにくいのは 4 つ目だ。聞く処理と話す処理は、そもそも別の段階を通るとされる。この整理に沿えば、聞き取りの訓練で自動化されるのは聞く側であり、組み立ての工程は別に鍛えることになる。ここも設計から導いた整理であり、直接測って比べた研究は見当たらない。だからこそ、実際に話そうとして初めて気づく穴がある。
音読はシャドーイングより負荷が軽いと考えられている。脳を撮った研究でも、2 つの訓練で変化する場所は同じではなかった。ただし、語彙や文法の定着でどちらが上かを直接比べた研究は、まだ見当たらない。
必要なのは訓練を変えることではなく、目的と訓練を並べ直すことだ。伸ばしたい力に合わせて手法を選べば、「毎日やっているのに」という徒労感は、位置を測るための情報に変わる。
参考文献
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- Whitworth, B., & Rose, H. (2025). A Systematic Review of Research on the Use of Shadowing for Second Language Pronunciation Teaching. Research Synthesis in Applied Linguistics, 1(2), 239-269. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/29984475.2025.2546827
- 門田修平 (2007). 『シャドーイングと音読の科学』. コスモピア. ISBN 978-4-902091-46-5. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008441039
- Segalowitz, N. (2010). Cognitive Bases of Second Language Fluency. Routledge. https://www.routledge.com/Cognitive-Bases-of-Second-Language-Fluency/Segalowitz/p/book/9780805856620
- 玉井健・門田修平. 『決定版 英語シャドーイング』シリーズ(標準編・入門編・超入門編). コスモピア. https://www.cosmopier.com/shoseki/4864541027/
最終更新日: 2026-09-08
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 12 件の研究エビデンス(tier 1=10 件 / tier 2=1 件 / tier 3=1 件)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より
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