英単語リスト集|研究で選ばれた「先に覚える語」を全文公開

結論: 英語の研究は「何語必要か」に数字で答えてきましたが、その数字だけでは、どの語から手をつければいいかが分かりません。ここでは研究者が実際に作った 4 つの単語リストを、出典とライセンスを明示して全文公開しています。目的が違えば選ぶリストも変わります。

公開しているリスト

リスト 収録語数 何のためのリストか 作成者
NGSL(日常英語の土台 2,809 語) 2,809 語 日常英語の土台。まずここから Charles Browne、Brent Culligan、Joseph Phillips
TSL(TOEIC 向け 1,250 語) 1,250 語 TOEIC 向け。NGSL に積み増す前提 Charles Browne、Brent Culligan
BNC/COCA 最頻 3,000 語族 3,000 語 語族で数えた最頻 3,000。読解の土台 I. S. P. Nation
AWL(学術英語 570 語族) 570 語 学術英語。論文を読む・書く人向け Averil Coxhead

なぜ単語リストそのものを公開するのか

英語の語彙研究は、必要な語彙の量をかなりはっきり示してきた。文章の中の語をどれだけ知っていれば読めるのかを、カバー率(=文章に出てくる語のうち、自分が知っている語の割合)という形で測ってきたからだ。

ところが、この数字だけを読んでも学習は始められない。「3,000 語族が要る」と言われても、その 3,000 がどの語なのかが分からないからだ。地図のない距離表示のようなもので、何キロ先かは分かっても、どちらへ歩けばいいかは分からない。

研究者はこの穴を埋めるために、実際の単語リストを作って公開してきた。ここではそのうち代表的な 4 つを、出典とライセンスを明示したうえで全文掲載している。数字と語の並びを、同じ場所で確認できるようにするのが目的だ。

覚え方そのものについては英単語が覚えられない大人へ|効く覚え方・効かない覚え方で扱っている。このページ集は「何を覚えるか」の側だけを担当する。

数え方が違えば、答えも変わる

リストを比べる前に、ひとつ確認しておきたいことがある。「英単語 3,000 語」と言うとき、何を 1 語と数えているかで話がまるで変わる。

研究でよく使われるのは語族という単位だ。ableabilityabilitiesunableinability を、まとめて 1 つと数える。もとが同じ語で、形が変わっているだけだからだ。家族をひとまとめに 1 世帯と数えるのに近い。

この数え方だと「3,000 語族」は、実際の語形にすると 1 万を超える。逆に、語形をひとつずつ数える方式のリストと単純に比べると、同じ「3,000」でも中身の量がまったく違ってしまう。リストを見るときは、まずどちらの数え方かを確かめるといい。

このページ集では、BNC/COCA が語族で数えたリスト、NGSL と TSL が見出し語と語形を並べたリストになっている。どちらも語形を表に載せているので、実際の量は目で確認できる。

研究が示す 2 つの目安

必要な語彙量を考えるとき、研究では 2 つの区切りがよく使われる。

ひとつは 95% だ。Laufer & Ravenhorst-Kalovski (2010) は、この水準を実用的な下限として扱っている。知らない語が 100 語に 5 語ある状態で、辞書を引きながらなら読める、というあたりになる。

もうひとつは 98% で、Hu & Nation (2000) がこの近辺を、助けなしで内容をつかめる水準として示した。100 語に 2 語しか知らない語がない状態だ。1 ページに数語だけ知らない語がある、という感覚に近い。

ただし Schmitt, Jiang & Grabe (2011) は、この関係を段の付いた階段のように受け取るのは誤りだと指摘している。カバー率が上がれば理解度もなめらかに上がるのであって、98% を超えた瞬間に急に読めるようになるわけではない。目安として使い、合格ラインとしては使わない方がいい。

具体的な語数の目安は英単語は何個覚えれば読める・聞けるのかで研究別に整理している。

目的が違えば、選ぶリストも変わる

4 つのリストは競合しているのではなく、役割が分かれている。

NGSL は日常的な英語の土台にあたる。目的が特に決まっていないなら、まずここから入るのが素直だ。頻度順に並んでいるので、上から潰していけばいい。

TSL は TOEIC 向けだが、単独では使えない。NGSL に含まれない語だけを集めた設計になっているためで、NGSL の上に積み増して初めて意味を持つ。TOEIC 対策としての覚え方はTOEIC 単語を効率よく覚える 4 原則にまとめてある。

BNC/COCA の最頻 3,000 語族は、語族で数えた頻度リストの標準として広く使われている。読解の土台を語族単位で押さえたいときの基準になる。

AWL は論文や教科書を読む人向けだ。ただし、この「学術専用語」という位置づけには研究者からの批判もあり、その中身は AWL のページで扱っている。

リストがあっても、覚え方は別の問題

最後にひとつ、はっきりさせておきたいことがある。

正しいリストを手に入れることと、その語が頭に残ることは、まったく別の問題だ。リスト側の研究は「何を」に答えるが、「どうやって」には答えていない。記憶の側の研究は別に積み上がっていて、覚える間隔や思い出す練習の効果を扱っている。

リストを上から順に眺めるだけの周回では定着しないことも、実験で繰り返し確かめられている。この点は単語帳を何周しても覚えられない人へで詳しく扱った。

リストは地図であって、歩き方の説明書ではない。両方そろえて初めて前に進む。

出典とライセンスについて

各ページに掲載しているリストは、いずれも研究者が公開しているものを、出典とライセンスを明示して転載している。表と CSV の部分は CC BY-SA 4.0(表示 – 継承 4.0 国際)で、商用利用を含めて自由に使える。条件は、作成者を表示することと、再配布や改変をする場合に同じライセンスで公開することの 2 つだ。

語の選定と順位づけを行ったのは各リストの作成者であり、greencafe 編集部ではない。編集部が行ったのは、表形式への整理と CSV の書き出しまでである。

なお、このライセンスが及ぶのはリストの部分だけで、各ページの日本語の解説文には及ばない。

よくある質問

4 つのうち、どれか 1 つだけやるならどれですか?

目的が特にないなら NGSL です。日常的な英語の土台になる語が頻度順に並んでいます。TOEIC や論文という明確な目的があるなら、NGSL の後に TSL や AWL を足す形になります。

リストを全部覚えれば英語が読めるようになりますか?

なりません。研究が示しているのは「語彙が足りないと読めない」という一方向の関係だけです。文法や読む速さは別の問題として残ります。

日本語の訳は付いていないのですか?

付けていません。原典に訳語が無く、こちらで訳を作れば正確さを保証できない語が出るためです。語形(活用形や派生形)は原典どおり載せています。

このリストを自分の教材やブログで使ってもいいですか?

使えます。商用利用も可能です。ただし作成者を表示し、同じ CC BY-SA 4.0 で公開する条件が付きます。

リストは無料ですか。会員登録は必要ですか?

無料で、登録もいりません。各ページから CSV をそのままダウンロードできます。

参考文献

このページの解説が根拠にしている研究です。リンク先は原典の出版社ページ(DOI)で、greencafe 編集部とは無関係の外部サイトです。

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このページを編集した人

中村 拓(Taku Nakamura)

編集責任者 / 応用言語学・第二言語習得 エディター(非ネイティブ話者)

応用言語学のバックグラウンドを持つ英語学習分野のエディターで、査読済み SLA 論文・応用言語学ジャーナル・公的機関資料の横断要約と再構成を担当する編集責任者です。非ネイティブ英語話者で、大人の英語学び直しを研究の視点で編集しています。このページ集では、原著者が公開した単語リストの取り込み・照合・表形式への整理と、日本語による解説の執筆を担当しました。

最終更新: 2026-08-28/発行: greencafe編集方針

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