英文法のルール暗記が続かないのは頭のせいじゃない|意味でつかむ英語を研究で解く

英文法の参考書とルールの例外リストを前に頭を抱えて悩む男性と、前置詞を1枚の絵でイメージしてすっきり理解する男性を左右に並べた、いらすとや風のイラスト。丸暗記の挫折と意味でつかむ学びを表す。 英語学習

英文法のルール暗記が続かないのは頭のせいじゃない|意味でつかむ英語を研究で解く

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

文法書のルールと例外を覚えても、すぐ抜けて続かないんです。僕、頭が悪いんですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

気持ちはわかります。ただ言葉を調べる認知言語学では、続かないのは頭ではなく学び方の問題だと示されているんですよ。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

でも、こんなに例外だらけで腑に落ちないのは僕だけな気がして…。

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

多くの人がそう感じます。認知言語学は、なぜ丸暗記が腑に落ちにくいのかを長く研究してきた分野なんです。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

研究で分かるって言われても、学び方を変えれば本当に腑に落ちるんですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

そこが肝心です。研究は「ルールを丸暗記する」ではなく「文法を意味とつなげて捉え直す」問題として整理しているんですよ。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

じゃあ、まず何から知ればいいのか教えてほしいです。

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

この記事では研究を並べて、続かない理由と意味でつかむ学び方を 1 つずつ、中学生にもわかる形で解いていきますね。

結論: 英文法のルール暗記が続かないのは、記憶力の弱さやセンスのせいではない [E02]。
文法を「意味と切り離したバラバラのルール」として丸暗記させられてきたからだ [E02]。
言葉の意味を調べる認知言語学の研究は、文法を「意味と結びついた形」と捉え直す [E02]。
前置詞は無関係な用法の寄せ集めではなく、1 つの中心イメージから広がる [E04]。
時制や冠詞も、話し手のものの捉え方を映した形として説明できる [E03]。
イディオムの多くは、体で感じた経験にたとえる仕組みから生まれている [E01]。
この記事では、その理由と意味でつかむ学び方を研究で 1 つずつ解いていく。

この記事でわかること

  • 大人が英文法でつまずくのは「頭のせい」なのか、それとも別のことなのか
  • ルールを丸暗記するのと、意味と結びつけて捉えるのは何が違うのか
  • 前置詞や時制を「意味」や「イメージ」でつかむとは、具体的にどういうことか
  • 意味でつかむ学び方が、研究のどこまで効いて、どこに限界があるのか

なぜ大人は英文法でつまずくのか — ルール丸暗記が続かない理由

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

文法をやり直そうとするたび挫折するの、やっぱり僕の記憶力が弱いからですよね…。

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

そうではないんですよ。Langacker 1987 の認知文法は、文法を意味と切り離して丸暗記させる学び方こそ続かない原因だと見ています。

英文法をやり直そうとして続かないと、人は「自分は頭が悪い」と考えがちだ。だが言葉の研究は、その自己否定にまず待ったをかける。手がかりになるのが認知言語学だ [E02]。認知言語学 (= 言葉のかたちには意味の理由があると考える言語学、というイメージ) の見方だ [E02]。

多くの人は文法を、意味と切り離したルールと例外の山として教わってきた。「be 動詞・時制・前置詞・冠詞」を、理由抜きで丸暗記させられた形だ。だが認知言語学は、その丸暗記こそが続かない原因だと見る [E02]。

大事なのは、続かない理由が記憶力の弱さではない点だ [E02]。文法を「なぜそうなるのか」抜きの記号列として覚えると、手がかりがなく忘れやすい [E02]。意味という理由がないバラバラの暗記は、そもそも定着しにくいのだ。

この見方を裏づけるのが Langacker 1987 の基礎研究だ [E02]。文法を「意味と結びついた形」として捉え直した研究だ [E02]。詳しくは次の章で見るが、まず押さえたいのはここだ [E02]。

つまり、例外が多すぎて腑に落ちないのは、あなたの頭のせいではない。意味を切り離してルールだけ覚えさせられてきたからだ [E02]。責めるべきは自分の記憶力ではなく、意味を抜いた学び方のほうだった。

ここまでのまとめ: 大人が英文法で挫折するのは記憶力の弱さではなく、意味と切り離したバラバラのルールとして丸暗記させられてきたからだ、と認知言語学は見る。責めるべきは頭ではなく学び方だ。

認知言語学とは何か — 文法は「意味のある形」という見方

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

認知言語学って言葉、難しそうで…。ひとことで言うと何なんですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

文法も単語と同じ「形と意味のペア」だと見る言語学です。Langacker 1987 は、単語と文法に境目はないと示したんですよ。

では認知言語学は、文法をどう捉え直すのか。中心にあるのが認知文法という考え方だ [E02]。認知文法 (= 文法は覚えるルールではなく、意味と結びついた形の集まりだとする考え方、というイメージ) だ [E02]。

これを体系化したのが Langacker 1987 だ [E02]。文法は意味と無関係な規則の集合ではないと論じた [E02]。文法も単語と同じく、「音の形」と「意味」を結んだ形の集まりだと捉え直した [E02]。

大事なのは、単語と文法の間にはっきりした境目がないと示した点だ [E02]。どちらも「意味を運ぶ形」として、ひとつながりに並んでいるという見方だ [E02]。単語も文型も、同じ「形と意味のペア」だと捉えるのだ [E02]。

この見方に立つと、「なぜこの形なのか」を意味から考え直せる [E02]。文法には意味上の理由があることが多いと研究は示している [E02]。理由が見えると、丸暗記より腑に落ちやすくなる。

つまり文法は、覚えるべき恣意的なルール表ではない。意味のある形の集まりとして捉え直せる [E02]。この軸の切り替えが、後の章で見る前置詞や時制の理解につながっていく。

ここまでのまとめ: 認知文法は、文法を意味と無関係なルールの寄せ集めではなく、意味と結びついた形の集まりとして捉え直す、と研究は示している。「なぜこの形か」を意味から考える軸への切り替えだ。

前置詞はコアイメージでつながる — over や in はバラバラじゃない

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

at と in の使い分けが混ざるんです。コアイメージって何ですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

前置詞の多くの用法が広がる 1 枚の中心の絵のことです。Tyler & Evans 2003 は、over や in が寄せ集めでないと分析したんですよ。

大人がとくに苦しむのが前置詞だ。「at なのか in なのか」の使い分けが、丸暗記では腑に落ちない。ここで手がかりになるのが Tyler & Evans 2003 の前置詞研究だ [E04]。前置詞の意味を体系的に分析した代表研究だ [E04]。

この研究が示したのがコアイメージという見方だ [E04]。コアイメージ (= 前置詞の多くの用法が広がってくる、1 つの中心の絵、というイメージ) だ [E04]。over や in の用法は、無関係な寄せ集めではないと分析した [E04]。

大事なのは、たくさんの用法が中心の絵から派生している点だ [E04]。中心の意味から周辺の用法へは、経験に根ざした規則的な広がりでつながっている [E04]。これは意味ネットワークと呼ばれる [E04]。意味ネットワーク (= 1 枚の中心の絵から意味が枝分かれして広がる地図、というイメージ) だ [E04]。

この見方は、実際の授業でも支持されている。Csábi 2004 は、多義語を中心の意味から広げて教える指導を試した [E10]。多義語 (= hold や keep のように、いろいろな意味を持つ語、というイメージ) が対象だ [E10]。中心の意味からの広がりに沿って教えると、理解と記憶が助けられたと報告した [E10]。

つまり前置詞は、覚えるしかない例外の山ではない [E04]。1 枚の中心の絵から意味が枝分かれした地図として捉え直せる [E04]。「なぜ at なのか in なのか」を、丸暗記でなく絵で考える切り替えが効く。

ここまでのまとめ: 前置詞はバラバラの用法の寄せ集めではなく、1 つの中心イメージから意味が広がったネットワークだ、と研究は示している。丸暗記のリストから、中心の絵で捉える見方への切り替えが効く。

時制も冠詞も「話し手の捉え方」で説明できる — construal という考え方

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

a と the も過去形も例外だらけで…。construal って何ですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

同じ景色でもどこにピントを合わせるかで言い方が変わる、という考えです。Langacker 2008 が捉え方の違いとして整理したんですよ。

前置詞の次に大人を悩ませるのが、時制と冠詞だ。「a と the」も「なぜここが過去形か」も、丸暗記では例外だらけに見える。これを解く鍵が construal という考え方だ [E03]。construal (= 同じ場面でも、話し手がどう捉えるかで言葉の形が変わること、というイメージ) だ [E03]。

これを整理したのが Langacker 2008 だ [E03]。同じ出来事でも、話し手の捉え方で選ぶ形が変わると示した [E03]。捉え方とは、同じ景色でもどこにピントを合わせて見るか、といった違いのことだ [E03]。

大事なのは、捉え方にいくつかの型があると整理された点だ [E03]。どこに注目するか、どの視点から見るか、どれくらい細かく見るか、といった違いだ [E03]。この違いが、選ぶ言葉の形を変えていく [E03]。

この見方に立つと、時制や冠詞が腑に落ちてくる。a と the の違いは、話し手がそれを「どう見ているか」を映している [E03]。時制も、出来事をどの視点から捉えるかの表れとして説明できる [E03]。

つまり時制や冠詞は、覚えるべき恣意的なルールではない [E03]。話し手のものの捉え方を映した形だ [E03]。例外だらけに見えた形が、「どう見ているか」の違いとして腑に落ちてくる。

ここまでのまとめ: 時制や冠詞は覚えるルールではなく、話し手が場面をどう捉えるか (construal) を映した形だ、と研究は示している。例外に見えた形が「どう見ているか」の違いとして腑に落ちる。

比喩やイディオムは体の経験から生まれる — 概念メタファーの正体

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

イディオムは結局、丸暗記するしかないですよね?なんであんな言い方をするのか…。

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

それが実は違うんです。Lakoff & Johnson 1980 は、抽象的なことを体の経験にたとえる概念メタファーが元だと示しました。

英語のイディオムや言い回しも、大人には丸暗記の対象になりがちだ。だが研究は、そこにも意味のつながりがあると示す。中心にあるのが概念メタファーだ [E01]。概念メタファー (= 目に見えない抽象的なことを、体で感じた身近な経験にたとえて理解する仕組み、というイメージ) だ [E01]。

これを提唱したのが Lakoff & Johnson 1980 だ [E01]。比喩は言葉の飾りではなく、ものを考える仕組みそのものだと論じた [E01]。たとえば英語では「時間はお金」のように話す [E01]。spend や save や waste を time に使うのがその例だ [E01]。

大事なのは、抽象的な意味が体の経験に根ざしている点だ [E01]。時間や議論のような漠然としたことを、お金や戦いのような身近な経験に写して理解している [E01]。これは身体化 (= 体で分かる経験に置き換えて理解すること) と呼ばれる [E01]。

この見方は、その後の研究でも整理されている。Kövecses 2010 は、概念メタファーを教科書レベルにまとめ直した [E08]。「人生は旅」のような言い回しも、少数の中心的な比喩から体系立って生まれると示した [E08]。at a crossroads のような表現がその例だ [E08]。

つまりバラバラに見えるイディオムは、無関係な寄せ集めではない [E01]。少数の中心的な比喩でつながっていると捉え直せる [E01]。「なぜそう言うのか」を体の経験からたどると、丸暗記より腑に落ちやすくなる。

ここまでのまとめ: 英語のイディオムの多くは、抽象的な意味を体で感じた経験にたとえる仕組み (概念メタファー) から生まれている、と研究は示している。バラバラに見える言い回しが体の経験でつながる。

文型そのものが意味を持つ — 構文文法という見方

ここまでは単語や前置詞の意味だった。だが認知言語学は、文型そのものにも意味があると見る。中心にあるのが構文文法だ [E05]。構文文法 (= 単語だけでなく、文型そのものが意味を運んでいるとする考え方、というイメージ) だ [E05]。

これを確立したのが Goldberg 1995 だ [E05]。二重目的語構文のような文型が、単語とは別に意味を担うと示した [E05]。二重目的語構文 (= 「主語 + 動詞 + 人 + 物」の並びのこと) だ [E05]。She baked him a cake がその例だ [E05]。

大事なのは、この型そのものが「誰かに何かを渡す」意味を運ぶ点だ [E05]。単語だけでなく、単語が入る「型」自体が意味を持っている [E05]。だから文法は、形だけのルールではなく「形と意味のセット」だと捉えられる [E05]。

この見方は、外国語学習の研究にもつながっている。Ellis 2003 は、L2 の文法はルール暗記から身につくのではないと論じた [E09]。L2 (= 母国語ではない、あとから学ぶ言語のこと) を指す [E09]。文法は構文というかたまりを使う経験から徐々に立ち上がる、と示した [E09]。

つまり文型は、丸暗記すべき並べ方のルールではない [E05]。意味を運ぶ「器」として捉え直せる [E05]。型から意味が読めると、初めて見る動詞でも意味を推し量れて応用が利く。

ここまでのまとめ: 文型そのものが意味を運んでいる (構文文法) と研究は示している。文型を丸暗記の並べ方でなく「意味の器」として捉えると、初めて見る動詞でも意味が読めて応用が利く。

意味でつかむ学び方は本当に効くのか — 授業で試した研究の成果と限界

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

意味でつかむって話は魅力的だけど、実際の勉強で本当に効くんですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

効く場面はあります。Boers 2013 は、意味の理由をつけて教えると助かる一方、こじつけの限界もあると冷静に整理していますよ。

ここまでの見方は魅力的だが、「本当に効くのか」が肝心だ。研究は、その効果と限界の両方を冷静に示している。手がかりになるのが Boers & Lindstromberg 2008 だ [E06]。認知言語学を実際の授業に応用した論集だ [E06]。

この論集が扱ったのが CL-informed instruction だ [E06]。CL-informed instruction (= 認知言語学の考え方を実際の英語の授業で使う指導、というイメージ) だ [E06]。イディオムを中心イメージや由来に結びつけて教える方法などを検討した [E06]。

分かったのは、意味の理由をつけて教えると助けられる場面がある点だ [E06]。丸暗記より、なぜそう言うのかを添えたほうが記憶や理解が助けられた [E06]。これは深い処理 (= 意味を考えながら覚えると定着しやすいこと) と呼ばれる [E06]。

ただし、意味づけは万能ではない。それを冷静に整理したのが Boers 2013 だ [E07]。多くの実証研究をまとめて効果と限界を評価した総括論文だ [E07]。イメージに結びつける指導は有望だが、効果は一様ではないと示した [E07]。

限界も具体的に指摘されている [E07]。意味づけはこじつけになりやすく、全部の用法を説明しきれないこともある [E07]。向く項目と向かない項目もあると分かった [E07]。だから既存の指導を置き換える魔法ではないと誠実に整理した [E07]。

この成果と限界は、実際の授業でも確かめられている。Csábi 2004 も、意味の広がりに沿って教えると理解が助けられたと報告した [E10]。同時に、こうした指導は補助線であって万能ではないと研究は見る [E07]。

ここまでのまとめ: 意味やイメージに結びつけて教えると記憶や理解が助けられる場面がある一方、こじつけや説明しきれない限界もある、と研究は示している。魔法ではなく、丸暗記を助ける補助線だ。

結局どう学び直せばいいのか — 研究からの落としどころ

最後に、ここまでの研究を一つの絵にまとめ直したい。まず全体像はこうだ。英文法が続かないのは、記憶力の弱さではなかった [E02]。意味を切り離してルールだけ覚えさせられてきたからだ [E02]。

次に、認知言語学は文法を「意味のある形」として捉え直す [E02]。前置詞は、無関係な用法ではなく 1 つの中心イメージから広がる [E04]。時制や冠詞は、話し手のものの捉え方を映した形として説明できる [E03]。

さらに、イディオムや文型にも意味のつながりがあった。イディオムの多くは、体で感じた経験にたとえる仕組みから生まれる [E01]。文型そのものも、意味を運ぶ器として捉え直せる [E05]。文法は、意味のあるかたまりの積み重ねだと言える [E09]。

そして効果には、成果と限界の両方があった。意味づけは記憶や理解を助ける場面がある一方、万能ではない [E06][E07]。魔法ではなく、丸暗記より腑に落ちやすくする補助線だと研究は見る [E07]。

ここから研究の合意点が見えてくる。覚えられないのは頭が悪いからではない [E02]。意味を切り離してルールだけ暗記させられてきたからだ [E02]。だから力の入れどころは「ルールを丸暗記する」ではなく「文法を意味と結びつけて捉え直す」ことになる [E02][E09]。

そのために手渡せる手がかりは三つだ。第一に、前置詞は 1 枚の中心の絵から広がる地図として捉える [E04]。第二に、時制や冠詞は話し手の捉え方の違いとして考える [E03]。第三に、イディオムは体の経験からたどる [E01]。

続かない自分を責める必要はない。研究が言うのは、ルールを増やすことではなく、文法を意味でつかみ直すことだ [E02][E05]。その一歩を、いちばん苦手な前置詞の中心イメージを 1 つ描くことから始めればいい。

ここまでのまとめ: 覚えられないのは頭のせいではなく、意味を切り離してルールだけ暗記させられてきたからだ、というのが研究の合意点だ。前置詞は絵で・時制や冠詞は捉え方で・イディオムは体の経験で捉え直せばいい。

FAQ

Q. 英文法のルール暗記がどうしても続きません。頭が悪いのでしょうか

A. 頭の問題ではありません。Langacker 1987 の認知文法は、文法を意味と無関係なルールではなく、意味と結びついた形の集まりとして捉え直しました [E02]。意味という理由を抜いた丸暗記は、そもそも手がかりがなく忘れやすいのです [E02]。責めるべきは記憶力ではなく、意味を切り離した学び方のほうです。

Q. 認知言語学とは何ですか。ひとことで言うと

A. 言葉のかたちには意味の理由があると考える言語学です。Langacker 1987 は、文法も単語と同じく「形と意味のペア」の集まりだと示しました [E02]。だから「なぜこの形なのか」を意味から考え直せます [E02]。文法を恣意的なルール表でなく、意味のある形の集まりとして捉える見方です。

Q. 前置詞の at と in が今も使い分けられません

A. 丸暗記でなく中心の絵で捉えるのが研究の勧めです。Tyler & Evans 2003 は、前置詞の用法は無関係な寄せ集めではなく、1 つの中心イメージから広がると分析しました [E04]。Csábi 2004 も、中心の意味から広げて教えると理解が助けられたと報告しています [E10]。まず 1 枚の中心の絵を描くのが第一歩です。

Q. 時制や冠詞が例外だらけに見えて覚えられません

A. 話し手の捉え方の違いとして考えると腑に落ちます。Langacker 2008 は、同じ場面でも話し手の捉え方 (construal) で選ぶ形が変わると整理しました [E03]。a と the の違いも、話し手がそれをどう見ているかを映した形です [E03]。ルールでなく「どう見ているか」の違いとして捉え直しましょう。

Q. 英語のイディオムはやはり丸暗記するしかないですか

A. 体の経験からたどると、つながりが見えてきます。Lakoff & Johnson 1980 は、抽象的な意味を身近な経験にたとえる概念メタファーを示しました [E01]。Kövecses 2010 も、多くの言い回しが少数の中心的な比喩から生まれると整理しています [E08]。「なぜそう言うのか」を経験からたどると腑に落ちやすくなります。

Q. 意味やイメージで文法を学ぶ方法は、本当に効くのですか

A. 効く場面がある一方、万能ではありません。Boers & Lindstromberg 2008 は、意味の理由をつけて教えると記憶や理解が助けられる場面があると示しました [E06]。ただし Boers 2013 は、こじつけや説明しきれない限界もあると冷静に評価しています [E07]。魔法ではなく、丸暗記を助ける補助線として使うのが誠実です。

まとめ

英文法が続かない、という悩みを研究のレンジで読み直すと、風景が落ち着いて見えてくる。

まず、続かないのは頭のせいではなかった。Langacker 1987 の認知文法は、文法を意味と無関係なルールではなく、意味と結びついた形の集まりとして捉え直した [E02]。責めるべきは記憶力ではなく、意味を切り離した学び方のほうだった。

次に、認知言語学は前置詞・時制・イディオムを一貫して意味で結び直す。Tyler & Evans 2003 は、前置詞を 1 つの中心イメージから広がるネットワークとして分析した [E04]。Langacker 2008 は、時制や冠詞を話し手の捉え方 (construal) を映した形として整理した [E03]。Lakoff & Johnson 1980 と Kövecses 2010 は、イディオムの多くが体の経験にたとえる仕組みから生まれると示した [E01][E08]。

文型そのものにも意味があった。Goldberg 1995 は、文型が意味を運ぶ構文文法を確立した [E05]。Ellis 2003 は、L2 の文法が意味のあるかたまりの積み重ねから立ち上がると論じた [E09]。

効果には、成果と限界の両方があった。Boers & Lindstromberg 2008 と Csábi 2004 は、意味に結びつけて教えると記憶や理解が助けられる場面があると示した [E06][E10]。Boers 2013 は、それが万能ではなく補助線だと冷静に整理した [E07]。

そして落としどころはひとつだ。覚えられないのは頭が悪いからではなく、意味を切り離してルールだけ暗記させられてきたからだ [E02]。前置詞は絵で・時制や冠詞は捉え方で・イディオムは体の経験で捉え直す。この三つから、いちばん苦手な前置詞の中心イメージを 1 つ描くことで始めればいい。それが研究の言う、いちばん落ち着いた学び直しだ。

参考文献


最終更新日: 2026-07-21
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 10 件の研究エビデンス(tier 1 の一次文献 5 件 + tier 2 の応用研究 5 件)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より

この記事を編集した人

中村 拓(Taku Nakamura)のポートレート

(編集責任者 / 応用言語学・第二言語習得 エディター(非ネイティブ話者))

応用言語学のバックグラウンドを持つ英語学習分野のエディターで、査読済み SLA 論文・応用言語学ジャーナル・公的機関資料の横断要約と再構成を担当する編集責任者です。非ネイティブ英語話者で、大人の英語学び直しを研究の視点で編集しています。

編集した記事: 64 本

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