TOEICの点が下がった=実力が落ちた、ではない|公式が示すブレ幅の読み方

左に右肩下がりのグラフを前にプレゼンテーションをしている男性のイラスト、右にテストの採点をしている男性の先生のイラストが並ぶ。下がった点数と、その点数をつけている側を表している。 TOEIC対策

TOEICの点が下がった=実力が落ちた、ではない|公式が示すブレ幅の読み方

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

半年勉強して受け直したのに、点が前より下がってたんです。

英語独学好きの助教S
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気持ちはわかります。ただ、その 1 回の数字だけで実力を決めていいのかは、測定を扱う研究の分野がずっと問い直してきた点なんですよ。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

点が下がって、そこでやめる人も多いんですか。

英語独学好きの助教S
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多いです。多くの人は返ってきた数字を成績表として読みますが、測定の研究では、数字は測り方の癖ごと読むものとして扱われてきました。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

研究でわかると言われても、僕に使えるものなんですか。

英語独学好きの助教S
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使えます。研究の側はこれを気の持ちようではなく、どこから先を「動いた」と呼ぶかという線引きの問題として整理してきたからです。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

じゃあ、僕は何から見ればいいんでしょうか。

英語独学好きの助教S
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この記事では、試験団体が公表している資料と研究 12 件を順番にたどりながら、返ってきた数字の読み方をひとつずつ渡していきます。

結論: TOEIC の点が前回より下がっても、それだけでは実力が落ちた証拠になりません。テストを作っている側は、同じ人が受け直しても点は少し動くことを前提にしています。公式資料は、1 回の点の周りにおよそ 25 点の幅があると数字で公表しています。これはリスニングだけで見たとき、リーディングだけで見たときの数字です。990 点満点の合計についての数字ではありません。さらに 2 回の点を比べるときの目安は、同じくセクションごとにおよそ 35 点とされています。測定の研究では、1 回の点は「本当の力」の周りに散らばるものとして扱われてきました。だから点は 1 個の数字ではなく、幅として読むものになります。この記事が渡すのは「気にしなくていい」という慰めではありません。「基準線の外に出たかどうかで判定できる」という道具です。

この記事でわかること

  • 1 回の点の周りにどれくらいの幅があるのかを、試験を作っている側が数字で公表していること
  • 2 回の点を比べるときの基準線と、それがセクションごとの数字であること
  • 下がったときだけでなく、上がったときも同じ基準で疑うべき理由
  • 点数と別に何を記録すればいいのか、という明日からの読み方

1. 「点が下がった」と「力が落ちた」は同じことではない

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

点が下がったら、実力が落ちたってことじゃないんですか。

英語独学好きの助教S
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別の出来事です。TOEIC を作っている団体は、同じ人が受け直しても点は少し動くことを前提に、その幅を資料で公表しています。

半年ぶんの勉強を積んで受け直したのに、点が前回より下がっていた。受験料も、朝の時間も無駄だった気がしてくる。

そこで多くの人は、下がった点を「実力が落ちた証拠」「向いていない証拠」として受け取ります。そして、そこで学習をやめてしまいます。

しかし測定の世界では、話の順番が違います。体重計に乗り直すたびに数字が少し違うのと同じで、同じ人が受け直しても点は少し動く。それが前提です。

TOEIC を作っている団体 (ETS) は、その動く幅を数字で公表しています。

公式資料には、1 回の受験の点の周りのブレ幅がおよそ 25 点だと書かれています。ブレ幅とは、同じ人が受けても点がこのくらいは動く、という散らばりの広さのことです。

体重計の説明書に「誤差はおよそ 300 g」と書いてあるのに近い話です。メーカー自身が幅を認めて、数字で示している状態です。

ここで最も間違えやすい点を先に置きます。この 25 点は、リスニングだけで見たとき、リーディングだけで見たときの数字です。

TOEIC の点は、リスニングとリーディングという 2 つの部分に分かれて出ます。25 点はその 1 つ 1 つについての数字であり、990 点満点の合計についての数字ではありません。

公式資料は具体例も出しています。リスニングで 300 点が出た場合を考えます。100 回のうち 68 回くらいの割合で、本当の力にあたる点はおよそ 275 点から 325 点の間で動く。そう書かれています。

「本当の力にあたる点」とは、その人が何度も受けたときの平均のようなものだと考えてください。1 回の点は、その周りに散らばって出てきます。

この考え方は、測定を扱う研究がずっと積み上げてきたものです。同じ的を狙って矢を射ても、矢は的の周りに少し散らばります。散らばりの広さが、ブレ幅にあたります。

なお、この記事は「自分で自分の力をどう見積もるか」という話ではありません。テストという機械そのものが持つ誤差の話です。自分の感覚と実際のズレのほうについては、自分の英語レベルがわからない|点数ではなく「できること」で測る方法で扱っています。

ここまでのまとめ: 1 回の点の周りには、およそ 25 点の幅があると公式が公表しています。これはリスニング、リーディングそれぞれについての数字です。

2. 2 回の点を比べる基準線は、セクションごとにおよそ 35 点

英語学び直したいユーイチ
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何点下がったら、本当に下がったと言えるんですか。

英語独学好きの助教S
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公式資料は、2 回の点を比べる基準線をセクションごとにおよそ 35 点としています。リスニング単体、リーディング単体の数字ですよ。

25 点を知ると、次の疑問が出てきます。では何点差から「本当に動いた」と言えるのか、です。

ここで使う数字は 25 点ではありません。公式資料は、2 回の受験の差を比べるときの基準線を、別の数字として示しています。

その基準線は、リスニング、リーディングのそれぞれについておよそ 35 点です。1 回のブレ幅が 25 点、2 回を比べる基準線が 35 点。この 2 つは別物です。

2 回の受験を比べるということは、ブレる機会が 2 回あるということです。だから目安も大きくなります。

公式資料は、この基準線の使い方まで例で示しています。訓練の前にリスニングが 300 点、訓練のあと別の形式で 340 点だった人の例です。

比べるもとになる 300 点のほうに、上下 35 点の帯を置きます。265 点から 335 点までの範囲です。訓練のあとの 340 点は、この帯の外側にあります。

そのため公式資料は、40 点の上昇を偶然だけで説明できる見込みは高くない、つまり本当に伸びたと考えられる、と述べています。

この道具を、いま手元の結果に当ててみます。リスニングで 15 点下がった、リーディングで 20 点下がった。どちらも 35 点の内側です。

つまり、それは「下がった」と呼べる差ではありません。実力が落ちたのでも、勉強が無駄だったのでもなく、そもそも判定できる大きさの差になっていない、というだけです。

ここでも繰り返します。35 点はセクションごとの数字です。リスニングだけで見て 35 点、リーディングだけで見て 35 点、という読み方をします。

合計点で 35 点差だったから意味がある、という読み方は誤りです。合計についての基準線は、この資料が示している数字とは別のものになります。

ここまでのまとめ: 2 回を比べるときの基準線は、セクションごとにおよそ 35 点です。それより小さい上下は「動いた」と呼びません。

3. では、テストは当てにならないのか

ここで逆の誤解が生まれます。そんなにブレるならテストは当てにならない、という受け取り方です。

これも違います。公式資料は、TOEIC のリスニングとリーディングの安定度をおよそ 0.90 と公表しています。

安定度とは、同じテストをもう一度やったとき、受けた人がどれくらい同じような並びになるかを、0 から 1 の間で表した目盛りのようなものです。

1 に近いほど、結果が安定していることを意味します。教育の場で使われるテストとして、0.90 は高い部類に入ります。

そして、ここが大事なところです。安定度の考え方を整理した古典的な研究では、安定度が高いテストほどブレ幅は小さくなる、という関係が示されています。

ただし、幅がゼロになることはありません。どれだけ精度の高い体重計を作っても、誤差を完全に消すことはできないのと同じです。

だから正しい態度は「テストを疑う」ではありません。「幅を織り込んで読む」です。テストは十分に安定していて、そのうえでなお幅を持っています。

ここまでのまとめ: TOEIC の安定度はおよそ 0.90 で、教育のテストとしては高い部類です。安定度が高くても、幅はゼロにはなりません。

4. これは TOEIC だけの事情ではない

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

TOEIC がブレやすいだけ、ってことはないんですか。

英語独学好きの助教S
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ありません。IELTS も公式統計で自分のブレ幅を公表しています。世界で使われる試験がそろって幅を書いている、ということです。

幅があるのは特定の試験の欠陥ではないか。そう思う人のために、別の試験の公表統計を並べます。

IELTS の公式統計 (2024-2025 年度) では、リスニングの安定度が平均 0.90 と公表されています。

IELTS のリーディングには 2 つの版があります。大学の授業を想定した「アカデミック」と、仕事や移住を想定した「ジェネラル トレーニング」です。

アカデミックのほうは 0.92、ジェネラルのほうは 0.91 です。

TOEIC の 0.90 とほぼ同じ水準です。

そして IELTS も、自分のブレ幅を公表しています。ただし単位が違います。バンドという単位で示されています。

バンドとは IELTS の点の出し方のことで、0.5 刻みで結果が出ます。5.5、6.0、6.5 といった形です。

その単位で見ると、ブレ幅はリスニングが 0.43、アカデミック リーディングが 0.36、ジェネラル トレーニング リーディングが 0.47 とされています。

この 0.36 から 0.47 という数字は、点数ではありません。バンドという単位での数字です。ここを取り違えないでください。

読者にとっての意味は、はっきりしています。結果が 0.5 刻みで出るのに対し、リスニング単独ではおよそ 0.4 バンド程度は動きうる。つまり半バンドの上下は珍しいことではありません。

話す・書くのように選択式でない部分は、採点する人どうしの一致度で報告されています。スピーキングが 0.90、ライティングが 0.92 です。

別のメーカーの体重計の説明書にも、同じように誤差の幅が書いてあります。幅があるのは、その機械が壊れているからではありません。設計の前提です。

ここまでのまとめ: IELTS も安定度とブレ幅を公表しています。幅の存在は欠陥ではなく、測定という営みの前提です。

5. 上がったときも、同じ基準で疑う

基準線は、下がったときだけの道具ではありません。自己ベストが出た回にも、同じ 35 点を当てます。

たくさんの研究をまとめた 2007 年の分析では、同じ形式のテストをもう一度受けるだけで、平均して点が少し上がることが報告されています。

「たくさんの研究をまとめた分析」とは、世界中の似た研究を集めて、全体としてどちらに傾いているかを出す方法のことです。

上がるのは、力が伸びたからとは限りません。問題の形式や時間配分に慣れた分が乗っています。これを受け慣れと呼びます。

初めて行く道より、2 回目のほうが早く着きます。道が短くなったのではなく、道順を覚えただけです。受け慣れも、それに近い話です。

同じ方向の報告は、もっと古い年代のまとめにもあります。1984 年の分析でも、もう一度受けることが点に影響することが整理されています。年代をまたいで同じ向きの報告が繰り返されている点が大事です。

ただし、ここで踏みとどまる必要があります。上がり幅は大きくはありません。「対策すれば誰でも上がる」という言い換えは成り立ちません。

効果の大きさを表す数字は、分野の外から持ってきた目安で素朴に「大きい」と判定してはいけない、という基準も示されています。

同じ 5 cm でも、身長の差なのか靴のサイズの差なのかで意味が変わります。数字は、比べている場所とセットで読むものです。

だから読み方は対称になります。自己ベストが出たときも、35 点の基準線を当てる。喜びすぎと落ち込みすぎは、同じ誤りの裏表です。

ここまでのまとめ: 受け直すだけで点は少し上がることがあります。上がったときも、下がったときと同じ基準線を当てます。

6. 自己ベストの次に下がりやすいのには、理由がある

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

自己ベストの次に必ず落ちるんです。失速したんでしょうか。

英語独学好きの助教S
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平均への回帰という現象です。たまたま高く出た次は下がりやすい、と医学や統計の研究で古くから整理されてきました。

過去最高が出た次の回に、がくんと下がる。多くの人が経験しています。

これには名前がついています。平均への回帰と呼ばれる現象です。

1 回目にたまたま自分の実力より高く出た人は、2 回目には下がる側に動きやすい。逆に 1 回目がたまたま低く出た人は、2 回目には上がりやすい。

じゃんけんで 5 連勝した次の日も、5 連勝できるとは限りません。強くなったのではなく、たまたま良い日だっただけです。

この現象は、医学や統計の領域で古くから整理されてきました。その人の努力や才能とは別の理由で、数字が動くことを説明します。

つまり「自己ベストの次は下がりやすい」という体験には、失速でも才能の問題でもない説明がつきます。むしろ起きやすいことが起きています。

この現象は、もう 1 つのことも示します。1 回の点で自分を判定するのは、そもそも無理があるということです。

コインを 1 回投げて表が出たからといって、そのコインが表の出やすいコインだとは決められません。点も同じで、1 回では決まりません。

ここまでのまとめ: たまたま高く出た回の次は、下がる側に動きやすいことが知られています。自己ベストの次の下落は珍しくありません。

7. 点が動く原因は、公式資料自身が並べている

では、何が点を動かしているのか。この問いにも公式資料が答えています。

挙げられているのは 4 つです。その日どれだけ頑張れたか。他の機会と比べて疲れているか、緊張しているか。どちらの形式の問題内容により馴染みがあったか。たまたま当てずっぽうで正解した数が多かったか。

疲れについては、研究の裏づけがあります。短い期間の睡眠不足の影響をまとめた 2010 年の分析では、注意を続ける課題の成績が下がることが報告されています。

覚えたことを一時的に保持して使う課題でも、同じ向きの結果が出ています。寝不足の日の運転は、運転が下手になったのではなく注意が続かなくなるのに近い状態です。

ただし、はっきり断っておきます。睡眠不足によって英語の試験の点が何点下がる、という数字は存在しません。ここは推測で埋めない部分です。

緊張のほうも、30 年分の研究をまとめたレビューがあります。試験そのものに対する不安を扱ったものです。

なお、ここでいう試験不安は、英語で話すときの緊張とは別の概念です。英語を口にする場面での不安については、英会話で緊張するのは性格ではない|世界の研究で分かった「効く克服法・効かない克服法」で扱っています。

さらに、選択式ではない試験になると、誤差の出どころが広がります。話す・書くのテストです。

複数の研究をまとめた 2015 年の整理では、点の動く原因が「どの課題に当たったか」「誰が採点したか」にも広がることが示されています。

料理コンテストで、出されたお題と審査員が変わると、同じ人でも点が違って出るのに似ています。

ただし、これは採点者がいい加減だという話ではありません。訓練された採点者どうしのズレは相対的に小さく、どの課題に当たったかの差のほうが効くこともある、という整理です。

試験団体はこのことを見越して、採点者の訓練と複数採点を行っています。幅を知っているからこそ、小さくする手を打っている、という順番です。

ここまでのまとめ: 当日の調子、問題形式への馴染み、たまたまの正解が点を動かします。話す・書くでは課題と採点者も原因に加わります。

8. 明日からの、点数の読み方 5 つ

英語学び直したいユーイチ
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結局、明日から何を見ればいいんでしょうか。

英語独学好きの助教S
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点を線で読むことです。点数は英語力そのものではなく英語力についての推測だ、と測定の研究では扱われてきました。

ここからは道具の形にします。土台になるのは 1 つの考え方で、点数は「英語力そのもの」ではなく、「英語力についての推測」です。そしてその推測が正しいかどうかは、点の中だけでは決まりません。

健康診断の数値は、体そのものではなく体についての手がかりです。数値だけでなく、階段を上って息が切れなくなったかも一緒に見ます。点数も同じ扱いになります。

ここから、読み方は 5 つになります。

(1) 判定の基準線を持つ。TOEIC ならリスニング、リーディングそれぞれで 35 点差を目安にします。それ未満の上下は「動いた」と呼びません。

(2) 1 回の点で判断しない。2 回から 3 回分を並べて、傾きを見ます。1 回の点の周りに幅がある以上、点は点ではなく線で読むものです。

(3) 上がったときも同じ基準で疑う。受け慣れの効果と平均への回帰がある以上、自己ベストの次は下がりやすくなります。

(4) 点数と別に「できること」を記録する。会議で聞き取れた、メールを辞書なしで書けた。そうした行動を点数の横に並べます。

(5) 試験日を整える。睡眠は、公式資料が挙げた「疲れているか」という要因にあたります。研究でも、注意や記憶を使う課題の成績が下がると報告されています。これは実力を上げる話ではなく、誤差を減らす話です。

そして最後に、逆側の線引きをしておきます。基準線の外側まで、それも何回か続けて下がっているなら、それは読むべき信号です。

その場合にやることは、点数の読み方ではなく練習の立て直しになります。伸びが止まったときの手当てについては、TOEIC800点で止まった人へ|変えるのは「知識の量」ではなく「処理の速さ」だと研究が示すで扱っています。

ここまでのまとめ: 点数は英語力についての推測です。基準線を持ち、線で読み、できたことを並記する。これが明日からの読み方です。

よくある質問

Q. 前回より 20 点下がりました。実力が落ちたということですか。
A. その 20 点がリスニングだけ、あるいはリーディングだけで見た差であれば、基準線のおよそ 35 点の内側です。公式の基準では「動いた」と判定できる差になっていません。

Q. 25 点と 35 点は、どちらを使えばいいのですか。
A. 1 回の点をどう読むかなら 25 点、2 回の点を比べるなら 35 点です。どちらもリスニング、リーディングそれぞれについての数字で、合計点の数字ではありません。

Q. 点がブレるなら、TOEIC を受ける意味はないのでは。
A. そうはなりません。TOEIC の安定度はおよそ 0.90 で、教育のテストとしては高い部類です。安定度が高くても幅はゼロにならない、というだけの話です。

Q. 2 回目のほうが点が高いのは、力が伸びたからではないのですか。
A. 伸びている可能性はありますが、それだけとは限りません。同じ形式のテストを受け直すだけで平均して点が少し上がることが報告されています。基準線を超えているかで判断してください。

Q. IELTS や英検でも同じことが起きますか。
A. IELTS は公式統計で安定度とブレ幅を公表しており、リスニング単独ではおよそ 0.4 バンド動きうるとされています。幅があるのは特定の試験の事情ではありません。

まとめ

半年勉強して受け直したのに点が下がった。その落胆は、勉強が無駄だった証拠として受け取られがちです。

しかし、テストを作っている側は最初から幅を計算していました。1 回の点の周りにおよそ 25 点。2 回を比べるときの基準線はおよそ 35 点。どちらもリスニング、リーディングそれぞれについての数字です。

同じことは IELTS の公式統計にも書かれています。幅の存在は、特定の試験の欠陥ではなく測定の前提です。

そのうえでテストは十分に安定しています。安定度はおよそ 0.90 です。高くても幅はゼロにはならない、という関係になっているだけです。

だから読み方は対称になります。受け直すだけで点は少し上がることがあり、たまたま高く出た次は下がりやすい。喜びすぎも落ち込みすぎも、同じ誤りの裏表です。

そして点数は、英語力そのものではなく英語力についての推測でした。だから点数の横に、実際にできるようになったことを並べて記録します。

15 点の上下に一喜一憂していた時間を、線として読む時間に変える。それが、この記事の渡す道具です。

参考文献

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  2. IELTS (British Council / IDP: IELTS Australia / Cambridge University Press & Assessment). Test Statistics (2024-2025). https://ielts.org/researchers/our-research/test-statistics
  3. Harvill, L. M. (1991). Standard error of measurement. Educational Measurement: Issues and Practice, 10(2), 33-41. https://doi.org/10.1111/j.1745-3992.1991.tb00195.x
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最終更新日: 2026-09-03

著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 12 件の研究エビデンス(tier 1=10 件 / tier 2=2 件)を横断分析・再構成した。

画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より

この記事を編集した人

中村 拓(Taku Nakamura)のポートレート

(編集責任者 / 応用言語学・第二言語習得 エディター(非ネイティブ話者))

応用言語学のバックグラウンドを持つ英語学習分野のエディターで、査読済み SLA 論文・応用言語学ジャーナル・公的機関資料の横断要約と再構成を担当する編集責任者です。非ネイティブ英語話者で、大人の英語学び直しを研究の視点で編集しています。

編集した記事: 110 本

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