英語の面接試験は面接官で点が変わる?|研究で分かった点のぶれと備え方

左にスーツの男性が面接官と向き合って面接を受けているイラスト、右に男性が英会話をしているイラストが並ぶ。英語で話して評価される面接試験を表している。 英検対策

英語の面接試験は面接官で点が変わる?|研究で分かった点のぶれと備え方

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

英語の面接試験って、面接官で点が変わるんですか?

英語独学好きの助教S
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気持ちはわかります。人と人が向き合う試験なので、点に人による違いが入るかどうかは、言語テストの研究でも大事なテーマなんです。

英語学び直したいユーイチ
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前回、同じくらいの友達より点が低くて…運ですかね?

英語独学好きの助教S
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多くの人がそう感じます。研究では、点を動かしうる人が受験者以外にも何人かいると考えます。だから運かどうかは、分けて考える必要があるんですよ。

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

でも研究が分かっても、僕にできることあります?

英語独学好きの助教S
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実は、研究はこれを「どこで差が生まれるか」という問題として整理しています。差の生まれる場所が分かれば、練習する場所もはっきりするんです。

英語学び直したいユーイチ
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具体的には、どこから読めばいいですか?

英語独学好きの助教S
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この記事では、面接官・相手・採点者の 3 つに分けて、13 本の研究を順番に見ていきます。最後に機械の採点についても考えますね。

結論: 面接官の話し方の違いで、同じ受験者の印象が変わった例は研究で報告されている。
一方、ペアの相手の英語力は点にほとんど影響しなかった、という研究もある。
相手の性格の影響が出たのは、自己主張が強い受験者だけだった。
採点者の厳しさの差は訓練の後も残り、その差は統計の方法で測って補正に使える。
ただし英検の二次試験そのものを調べた研究は見つからず、英検に同じことが起きるとは言えない。
研究が示すのは「点には人による違いが入りうる」までで、「点数は運」とは別の話だ。

この記事でわかること

  • 英語の面接試験の点に関わる「面接官・相手・採点者」の 3 つの役割
  • 面接官や相手によって点が変わったかを調べた研究と、その結果の分かれ方
  • 採点する人の厳しさの差を、テストを作る側がどう扱っているか
  • 運に任せずに受験者が練習できる「やりとりする力」の考え方

話す力のテストの点は、だれが関わって決まるのか

英語の面接試験には、受験者のほかにも何人かの人が関わっている。
1 人目は、質問をする面接官だ。
2 人目は、ペアやグループで一緒に話す相手の受験者だ。
3 人目は、話しぶりを聞いて点をつける採点者だ。
英検の二次試験のように、面接官が採点も兼ねる形式もある。

言語テストの研究では、会話は受験者 1 人ではなく、相手と一緒に作るものと考えることが多い。
この考え方を共同構築と呼ぶ。
キャッチボールで、投げ方がうまい相手だと自分の捕り方もうまく見える、というイメージだ。
面接官の質問の仕方を調べた研究も、この見方をタイトルに掲げている。

この見方に立つと、点は「受験者の力」だけでなく、関わる人との組み合わせの中で生まれうる。
ただし「生まれうる」と「必ず大きく変わる」は違う。
以下では、3 つの役割ごとに、影響が見られた研究と見られなかった研究を分けて見ていく。

ここまでのまとめ: 英語の面接試験には、面接官・相手・採点者が関わる。研究では、会話は 2 人で一緒に作るものだと考えられている。

面接官の話し方で、受験者の見え方は変わるのか

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

面接官の話し方って、僕の印象まで変えるんですか?

英語独学好きの助教S
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1 人の受験者が 2 人の面接官と話した研究では、片方の面接でより意欲的な話し手に見えました。ただ、点の差を数字で示した研究ではありません。

面接官の違いを調べた代表的な研究が、Brown という研究者の 2003 年の論文だ。
同じ選手を 2 人の監督の下でプレーさせて見比べたような研究にあたる。
1 人の受験者が、2 人の別々の面接官と 1 回ずつ面接を受けた。
その 2 回の会話を、談話分析という方法で細かく比べた。
談話分析とは、会話の一言一言を書き起こして、やりとりの組み立てを調べる方法だ。

2 人の面接官は、話題の広げ方・質問の仕方・返事の返し方が違っていた。
さらに採点者に、採点しながら考えたことを口に出してもらった。
その結果、一方の面接では、受験者がより「効果的で意欲的な話し手」に見られていた。
論文は、こうした面接ごとの違いが不公平につながりうると述べている。
ただし対象は受験者 1 人・面接 2 回の事例研究 (= 少数の例をくわしく調べる研究) で、大人数を統計で比べた研究ではない。

面接官の「歩み寄り」に注目した研究もある。
歩み寄りとは、相手に合わせて話し方を変える工夫のことだ。
外国の人に道を聞かれたら、ゆっくり簡単に言い直すようなものだ。
Ross と Berwick という 2 人の研究者は、1992 年に面接での歩み寄りを分析した。
対象は OPI という、面接官と 1 対 1 で話して話す力を判定する面接試験だ。
2 人は、的外れな歩み寄りが面接と採点の両方をゆがめうると指摘した。
ただしこの研究は、歩み寄りが点をどれだけ動かしたかを数字で測ったものではない。

Lazaraton という研究者は 1996 年に、面接官が出す「助け舟」を調べた。
言葉に詰まったとき、先生が「それって〇〇のこと?」とヒントをくれるようなものだ。
対象は Cambridge の面接試験 CASE の書き起こし 58 件だ。
CASE は、英検と同じく面接官と 1 対 1 で話す形式の試験だ。
調べた結果、8 種類の助け舟が広く見られた。
ただし、助け舟が最終的な点にどう響くかは分からず、懸念が残ると結論している。

ここまでのまとめ: 面接官の話し方で受験者の印象が変わった例はある。ただし事例研究や記述の研究が中心で、点の差を数字で示したものではない。

ペアの相手の英語力は、自分の点に響くのか

英語学び直したいユーイチ
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上手な人とペアになったら、僕の点は下がりますよね…

英語独学好きの助教S
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気持ちはわかります。でも大学生 20 名の研究では、相手の英語力は点にほとんど影響しませんでした。話す量が増えた人もいたんですよ。

ペアで話す形式のテストでは、相手の受験者も会話を作る一人になる。
英検の二次試験は面接官と 1 対 1 なので、この話は直接は当てはまらない。
ただ、ペア形式の試験や会社の評価を受ける人には関わる話だ。

相手の英語力を調べたのが、Davis という研究者の 2009 年の研究だ。
対象は中国の大学 1 年生 20 名だ。
受験者は、同じくらいの力の相手と 1 回、力が違う相手と 1 回、ペアで話した。
点は、ラッシュ分析という統計の方法で能力の値として出した。
ラッシュ分析とは、問題の難しさなどを考えに入れて、受験者の力を 1 本の物差しに並べる方法だ。

結果は、相手の英語力は点に目に見える影響を与えなかった、というものだった。
ただし英語力が低めの受験者は、力の高い相手と組むと話す量が増えた。
テニスで上手な相手と組むと打つ回数は増えるが、実力の評価はほぼ変わらなかった、というイメージだ。
また力の差がかなり大きいと、片方が主導する偏った会話になりやすかった。

ペアの会話の型を調べたのが、Galaczi という研究者の 2008 年の研究だ。
対象は Cambridge の英語試験 FCE で、受験者 2 人のペア 30 組の会話を分析した。
会話の型は「協力型」「並行型」「非対称型」の 3 つに分けられた。
協力型は、相手の話につなげて返す型だ。
並行型は、それぞれが言いたいことを言うだけの型だ。
非対称型は、片方が会話を引っぱる型だ。
この型と、やりとりの力の点との間には、密接な関係が見られた。

では採点者は、2 人で作った会話をどう点に分けるのか。
May という研究者は 2009 年に、訓練を受けた採点者 4 名の見方を調べた。
採点者は、会話の主な特徴を 2 人の「共同の成果」として受け止めていた。
2 人でやる漫才は、どちらか 1 人だけの手柄にしにくいのと同じだ。
そのため、やりとりの力には 2 人に共通の点をつける方法も考えられる、と提案している。

ここまでのまとめ: ペアの相手の英語力は点にほとんど影響しなかった研究がある。一方、会話の型ややりとりの評価は、2 人で作るものとして扱われている。

グループの相手の性格や人数は、点に影響するのか

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

おしゃべりな人と同じグループだと、不利ですか?

英語独学好きの助教S
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日本の大学生の研究では、影響が出たのは自己主張が強い人だけでした。強くない人には、組み合わせの影響は見つかっていないんです。

3 人以上で話し合うグループ形式のテストもある。
Ockey という研究者は 2009 年に、メンバーの性格が点に影響するかを調べた。
対象は日本で英語を学ぶ日本人の大学 1 年生で、面接官なしで話し合うテストだ。
注目した性格は、自己主張の強さだ。

自己主張が強い受験者 112 名と、強くない受験者 113 名を分けて分析した。
自己主張が強い人は、強くないメンバーだけと組むと予想より高い点になった。
逆に、自己主張が強いメンバーだけと組むと、予想より低い点になった。
おしゃべりな人は、静かな人たちの中だと目立ち、おしゃべりな人だらけの中だと埋もれる、というイメージだ。
一方、自己主張が強くない受験者には、組み合わせの影響は見つからなかった。
つまり影響は条件つきで、全員に起きたわけではない。
著者は、メンバー同士を比べて点をつけないよう採点者を指導すべきだと提案している。

人数の違いを調べたのが、Nakatsuhara という研究者の 2011 年の研究だ。
対象は日本の高校生 269 名で、3 人か 4 人のグループでテストを受けた。
3 人の雑談と 4 人の雑談では、話す順番の回り方が変わる、という問題意識の研究だ。
すべての会話を撮影し、会話分析という方法で書き起こして調べた。
会話分析とは、話す順番の交代や間の取り方を細かく見る方法だ。
ただし要約には、どの条件でどんな差が出たかは書かれていない。
そのため、この記事ではこの研究から結論は出さない。

ここまでのまとめ: 相手の性格の影響が出たのは、自己主張が強い受験者だけだった。人数の違いの研究は、結果の向きまでは要約から読み取れない。

採点する人によって、厳しさは違うのか

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

採点者に厳しい人と甘い人って、本当にいるんですか?

英語独学好きの助教S
英語独学好きの助教S

ドイツ語の試験の研究では、厳しさに大きな差がありました。でも全体の採点は一貫していて、辛口の分を計算で差し引けるんです。

採点者の違いを調べた研究に、Eckes という研究者の 2005 年の研究がある。
対象は英語ではなく、ドイツ語の試験 TestDaF の書く・話すテストだ。
使ったのは、多相ラッシュ分析という統計の方法だ。
これは、採点者の厳しさや課題の難しさを差し引いて、受験者の力を見積もる方法だ。
辛口と甘口の審査員がいても、だれがどれだけ辛口かを計算して差し引くようなものだ。

結果、採点者は採点の厳しさで大きく違っていた。
一方で、全体としての採点はかなり一貫していた。
採点者全体としては、受験者の性別による偏りは見られなかった。
「厳しい人と甘い人がいる」ことと「点がでたらめ」は別、ということだ。

Lumley と McNamara という 2 人の研究者も、1995 年に採点者のくせを扱った。
対象は医療職向けの英語試験 OET の、職業に合わせた役割を演じて話すテストだ。
18 か月あけた 2 回の採点者訓練と、その後の本番の採点のデータを分析した。
採点者のくせが時期をまたいで続くかを確かめる、という設計の研究だ。
体重計ごとに 0.5kg 重く出るくせがあっても、分かっていれば差し引ける、という考え方に近い。
ただし要約には結果の向きが書かれていないので、ここから結論は作らない。

ここまでのまとめ: 採点者の厳しさには大きな差があると報告されている。ただし全体の採点は一貫しており、差は統計で測って扱える。

採点者の差は、訓練で消えるのか

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

採点者を訓練すれば、差はなくなるんじゃないですか?

英語独学好きの助教S
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実は 16 名の採点者の研究では、訓練後も厳しさの差は残りました。一方で毎回のぶれは減り、同じ人の中ではそろいやすくなったんです。

採点者訓練の効果を調べたのが、Weigle という研究者の 1998 年の研究だ。
経験の浅い採点者 8 名と、経験のある採点者 8 名の計 16 名を比べた。
対象はアメリカの大学のクラス分け試験の作文 60 本で、話す試験ではない。

訓練の前は、経験の浅い採点者のほうが厳しく、ばらつきも大きかった。
訓練の後は、2 つのグループの差は小さくなった。
しかし採点者どうしの厳しさには、まだ「有意な差」が残った。
有意な差とは、偶然のずれとは言いにくい、はっきりした差という意味だ。
一方で、多くの採点者は毎回の採点のぶれが小さくなった。

著者は、訓練は「同じ人が毎回ぶれない」ことには効きやすいとまとめた。
反対に「採点者どうしで同じ点をつける」ことには効きにくい、とも述べている。
練習で毎回同じフォームで投げられても、全員の球速はそろわない、というイメージだ。
だから前の章の多相ラッシュ分析のような統計の方法で、採点者の厳しさの差を測って補正に使うことができる。
英検や IELTS (= 留学や移住でよく使われる英語の試験) の採点の細かい手順は、各試験の公式サイトで確かめてほしい。

ここまでのまとめ: 採点者訓練の後も、採点者どうしの厳しさの差は残った研究がある。そのため差を測って補正する方法が研究されている。

「ぶれがある」と「点数は運」は別の話

ここまでの研究をまとめると、点には人による違いが入りうる。
ただし、それは「点数は運で決まる」という意味ではない。
ぶれは研究で測られ、小さくする工夫が続けられているからだ。
また、相手の英語力の影響がほとんど見られなかった研究もある。

点の上下には、人による違い以外の理由もある。
同じ人が同じテストを受けても点は少し動く。
このブレ幅の考え方はTOEIC の点が下がっても実力が落ちたとは限らない理由とブレ幅の読み方で扱っている。
本番で緊張して力が出ない問題は、TOEIC・英検の本番で緊張して実力が出ないときの仕組みと対処法にまとめた。
この記事は、その 2 つとは別の「人による違い」に絞っている。

もう 1 つ大事なのは、英検との距離だ。
この記事で紹介した研究は、どれも英検の二次試験を調べたものではない。
OPI・CASE・FCE・OET・TestDaF など、別の試験や研究用のテストが対象だ。
だから「英検でも面接官によって点が変わる」とは言い切れない。

ここまでのまとめ: 点に人による違いが入りうることと、点数が運で決まることは別の話だ。紹介した研究は英検以外の試験が対象だった。

運に任せずに、受験者ができること

研究から見えてくるのは、会話は相手と一緒に作るもの、という見方だ。
それなら、相手の言葉を受けて会話を続ける力そのものを練習する意味がある。
この力を、やりとりする力と呼ぶ。
キャッチボールで、相手の球を受けてから投げ返し、ラリーを続ける力のことだ。

具体的には、次のような動きだ。
– 質問が聞き取れなかったら、聞き返す
– 意味がはっきりしないときは、「〇〇という意味ですか」と確かめる
– 答えたあとに、理由や例を 1 つ足して話を広げる
– 相手の発言を受けて、「それなら〜」とつなげて返す

ペアの会話の研究では、相手の話につなげて返す協力型の会話が見られた。
そして、会話の型とやりとりの力の点には密接な関係があった。
話す量を増やす練習の意味は、英語のアウトプットは本当に効くのかを研究で整理した記事でも扱っている。

ただし注意がある。
やりとりする力を練習すると試験の点が上がる、と直接確かめた研究は少ない。
本記事で文献を集めた範囲でも、そうした研究は見つからなかった。
ここに書いたのは、研究の見方から論理的に言える範囲の備えだ。
聞き返しが英検で減点されるかどうかも、公式の情報で確かめてほしい。

ここまでのまとめ: 会話を一緒に作る力は、研究が点のぶれの源として注目してきた部分だ。ただし、その練習で点が上がると直接確かめた研究は少ない。

機械に採点や相手役を任せたら、人によるぶれは減るのか

英語学び直したいユーイチ
英語学び直したいユーイチ

AI に採点を任せたら、もう公平になりますよね?

英語独学好きの助教S
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機械の点は人の面接の点とよくそろった研究があります。ただ、やりとりする力の点は、人が相手のときのほうが高かったんですよ。

人による違いが入りうるなら、機械に任せればよいのだろうか。
この問いに関わる研究が 2 つある。

1 つ目は、Bernstein という研究者たちの 2010 年の論文だ。
完全に機械が採点する話す力のテストを、人の面接試験と比べた。
4 つの言語の学習者で、機械の点と面接試験の点は強く相関した (r = 0.77〜0.92)。
r は 2 つの点がどれだけ一緒に上がり下がりするかを表す数で、1 に近いほどそろう、というイメージだ。
その強さは、面接試験を 2 回受けたときの自分自身の点とのそろい方と同じくらいだった。
ただし著者は機械のテストを作った側で、やりとりする力を直接測ってはいない。

2 つ目は、先ほどの Ockey と、Chukharev-Hudilainen という研究者の 2021 年の研究だ。
コンピュータが会話の相手役をする仕組みを作り、受験者 40 名が人とコンピュータの両方と話した。
採点は、訓練を受けた人間の採点者 4 名が行った。
流暢さ・発音・文法と語彙の点は、2 つの条件でほぼ同じだった。
しかし、やりとりする力の点は、人が相手のときのほうがかなり高かった。
一方で、その評価の信頼性 (= 何度測っても同じような点が出る度合い) はコンピュータ相手のほうが高かった。
毎回同じ球を投げるピッチングマシンは条件をそろえやすいが、かけひきは再現しにくい、というイメージだ。

つまり機械は条件をそろえやすい一方、人と話して見える力をどこまで測れるかは別の問題だ。
機械の採点で、英検などの面接官によるぶれが実際に減ったかを確かめた研究は見つからなかった。
AI 相手の練習で面接の点が上がるかも、この点を確かめた研究はまだ少ない。

ここまでのまとめ: 機械の点は人の面接の点とよくそろった研究がある。ただし、やりとりする力まで同じように測れるかは、まだ研究で確かめている途中だ。

よくある質問

Q1. 英検の二次試験は、面接官の当たり外れで合否が決まりますか?

そう言える研究は見つからなかった。
面接官の話し方で受験者の印象が変わった例はあるが、英検以外の試験の事例研究だ。

Q2. ペアの相手が自分より上手だと、点は下がりますか?

ある研究では、相手の英語力は点にほとんど影響しなかった。
英語力が低めの人は、上手な相手と組むと話す量が増えていた。

Q3. 採点者が厳しい人だったら損ですか?

採点者の厳しさに差があることは研究で報告されている。
そのため試験によっては、厳しさを統計で差し引く方法が使われている。

Q4. 面接で聞き返すと減点されますか?

英検での扱いは公式の情報で確かめてほしい。
研究では、会話は面接官と一緒に作るものと考えられている。

Q5. AI の自動採点なら公平になりますか?

機械の点は人の面接の点とよくそろった研究がある。
ただし、人と話して見える力の点は、人が相手のときのほうが高かった。

まとめ

英語の面接試験の点には、面接官・相手・採点者という人による違いが入りうる。
面接官の話し方で、受験者の印象が変わった例は研究で報告されている。
ペアの相手の英語力は、点にほとんど影響しなかった研究がある。
相手の性格の影響は、自己主張が強い受験者だけに見られた。

採点者の厳しさの差は訓練の後も残り、その差は統計の方法で測って補正に使える。
紹介した研究は英検以外の試験が対象で、英検にそのまま当てはまるとは言えない。
運に任せず、聞き返す・確かめる・話を広げる練習をしておくのが、研究と矛盾しない備え方だ。

参考文献

  1. Brown, A. (2003). Interviewer variation and the co-construction of speaking proficiency. Language Testing, 20(1), 1-25. https://doi.org/10.1191/0265532203lt242oa
  2. Ross, S., & Berwick, R. (1992). The discourse of accommodation in oral proficiency interviews. Studies in Second Language Acquisition, 14(2), 159-176. https://doi.org/10.1017/S0272263100010809
  3. Lazaraton, A. (1996). Interlocutor support in oral proficiency interviews: The case of CASE. Language Testing, 13(2), 151-172. https://doi.org/10.1177/026553229601300202
  4. Davis, L. (2009). The influence of interlocutor proficiency in a paired oral assessment. Language Testing, 26(3), 367-396. https://doi.org/10.1177/0265532209104667
  5. Ockey, G. J. (2009). The effects of group members’ personalities on a test taker’s L2 group oral discussion test scores. Language Testing, 26(2), 161-186. https://doi.org/10.1177/0265532208101005
  6. Nakatsuhara, F. (2011). Effects of test-taker characteristics and the number of participants in group oral tests. Language Testing, 28(4), 483-508. https://doi.org/10.1177/0265532211398110
  7. Galaczi, E. D. (2008). Peer-peer interaction in a speaking test: The case of the First Certificate in English examination. Language Assessment Quarterly, 5(2), 89-119. https://doi.org/10.1080/15434300801934702
  8. May, L. (2009). Co-constructed interaction in a paired speaking test: The rater’s perspective. Language Testing, 26(3), 397-421. https://doi.org/10.1177/0265532209104668
  9. Lumley, T., & McNamara, T. F. (1995). Rater characteristics and rater bias: Implications for training. Language Testing, 12(1), 54-71. https://doi.org/10.1177/026553229501200104
  10. Weigle, S. C. (1998). Using FACETS to model rater training effects. Language Testing, 15(2), 263-287. https://doi.org/10.1177/026553229801500205
  11. Eckes, T. (2005). Examining rater effects in TestDaF writing and speaking performance assessments: A many-facet Rasch analysis. Language Assessment Quarterly, 2(3), 197-221. https://doi.org/10.1207/s15434311laq0203_2
  12. Bernstein, J., Van Moere, A., & Cheng, J. (2010). Validating automated speaking tests. Language Testing, 27(3), 355-377. https://doi.org/10.1177/0265532210364404
  13. Ockey, G. J., & Chukharev-Hudilainen, E. (2021). Human versus computer partner in the paired oral discussion test. Applied Linguistics, 42(5), 924-944. https://doi.org/10.1093/applin/amaa067

最終更新日: 2026-10-19

著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 13 件の研究エビデンス(tier 1=13 件 / tier 2=0 件)を横断分析・再構成した。

画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より

この記事を編集した人

中村 拓(Taku Nakamura)のポートレート

(編集責任者 / 応用言語学・第二言語習得 エディター(非ネイティブ話者))

応用言語学のバックグラウンドを持つ英語学習分野のエディターで、査読済み SLA 論文・応用言語学ジャーナル・公的機関資料の横断要約と再構成を担当する編集責任者です。非ネイティブ英語話者で、大人の英語学び直しを研究の視点で編集しています。

編集した記事: 148 本

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