英文にマーカーを引くと英語は身につく?|研究で見る2つのマーカーの違い

左に文房具のマーカーのイラスト、右にいろいろな語学の勉強をしている女性のイラストが並ぶ。英語の勉強でマーカーを使うことを表している。 学習法

英文にマーカーを引くと英語は身につく?|研究で見る2つのマーカーの違い

英語学び直したいユーイチ
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蛍光ペンで英文を塗っても、全然話せないんです…

英語独学好きの助教S
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気持ちはわかります、多くの人が同じ悩みを持っています。実は英語の学び方の研究でも、目立たせる工夫がどこまで役立つかは長く調べられてきたテーマなんですよ。

英語学び直したいユーイチ
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参考書の太字も、ちゃんと見てるのになあ…

英語独学好きの助教S
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実は研究の世界では、教材が先に付けた太字と、自分で引くマーカーを別々に調べています。同じ「目立たせる」でも、調べた分野が違うんですよ。

英語学び直したいユーイチ
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研究と言われても、僕に使いこなせるか不安です

英語独学好きの助教S
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大丈夫ですよ。研究は、マーカーが役立つかどうかを才能ではなく「使い方の条件」の問題として整理しています。工夫で変えられる話なんです。

英語学び直したいユーイチ
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じゃあ、具体的には何から見直せばいいですか?

英語独学好きの助教S
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この記事では、言語習得の実験や目の動きの研究、勉強法の研究を順番に紹介します。分かったことと分からないことを分けて、一緒に確かめましょう。

結論: 英語の学び方の研究では、教材が先に付けた太字や色で文法の形が身につく効果は「わずか」と報告されています。強調で目は止まりますが、それだけで身につくとは限らないという結果もあります。自分で引くマーカーは英語以外の勉強の研究で調べられ、「いつも頼れる方法ではない」と評価されています。ただし条件しだいで役立つ結果もあり、何を・どれだけ目立たせるかが鍵になりそうです。

この記事でわかること

  • 「教材の太字」と「自分で引くマーカー」が、研究ではまったく別物として扱われている理由
  • 強調した英文を読んだとき、文法の形と話の中身の理解に何が起きたか
  • 決まった言い回しに下線を引くと、下線のない部分はどうなるか
  • 研究から言える範囲での、マーカーの使い分け方

「マーカー」には 2 つの種類がある|この記事で分けて考える理由

参考書の太字に、さらに自分で蛍光ペンを引く人は多いでしょう。ページはカラフルなのに、話す場面で言い回しが出てこない。そんな経験はありませんか。

実は、研究の世界では「マーカー」を 2 つに分けて考えます。

1 つ目は、先生や教材が先に英文の一部を太字・色・下線で目立たせ、それを読む場合です。外国語の学び方を調べる分野を第二言語習得研究と呼びます。母語の次に学ぶ言葉が、どう身につくかを調べる学問です。この分野では、教材側が英文に手を加えて目立たせる工夫を「インプット強化」と呼んできました。太字や色は、その身近な例です。料理番組で、大事な材料にだけスポットライトを当てるような工夫です。

2 つ目は、読む人が自分で蛍光ペンを引く場合です。こちらは英語に限らない、勉強のしかた全般を調べる研究で扱われてきました。教育心理学 (= 人がどう学ぶかを心理学で調べる分野) と呼ばれる領域です。

2 つは研究の分野もテストの中身も違うので、この記事では混ぜずに別々に見ていきます。

なお、英語を「読む・聞く」ことでどこまで伸びるかの全体像は、社会人の英語はインプット中心で伸びるのか|世界の研究で分かった限界と伸ばし方で扱っています。この記事は「目立たせ方」に絞ります。

ここまでのまとめ: 研究では、教材が先に付けた強調と、自分で引くマーカーを別のものとして調べています。この記事でも 2 つを分けて確かめます。

土台の考え方|「気づいたものだけが残る」説とその反論

英語学び直したいユーイチ
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気づき仮説って、言われてもピンと来なくて…

英語独学好きの助教S
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「自分で気づいたものだけが頭に残る」という考え方です。Schmidt が 1990 年に唱えた理論で、実験の結果ではない点がポイントなんですよ。

強調の研究には、土台になった考え方が 2 つあります。どちらも理論で、実験の結果ではありません。

1 つ目は、Schmidt (1990) の気づき仮説です。研究は「著者名 (発表年)」で呼ぶのが習わしで、本を「作者名と発売年」で呼ぶのと同じです。気づき仮説とは「自分で気づいたものだけが、頭の中の英語の倉庫に入る」という考え方です。目に入っていても、気づかなければ素通りしてしまう、というわけです。

Schmidt は、気づきは読んだ英語を自分のものにする必要十分条件だ、とまで述べました。「それがあれば必ず起き、なければ起きない」という、かなり強い主張です。

この強い主張には反論もあります。Truscott (1998) は、気づき仮説を厳しく点検した論文です。仮説を支える心理学の研究は弱く、確かめられる予測も立てにくいと指摘しました。

そのうえで Truscott は、こう言い直す案を出しました。気づきは「説明できる文法の知識」には必要でも、「とっさに使える力」には必要ないかもしれない、というものです。ルールを説明できることと、自転車に乗れることは別、というのに近い話です。どちらが正しいかは、まだ決着していません。

2 つ目の土台は、Sharwood Smith (1993) の論文です。先生や教科書の作り手が、学習者に届く英語に手を加えて目立たせる。これを「強化」と呼び、その理論上の位置づけを論じました。前の節で出てきた「インプット強化」という言葉の出どころです。

つまり強調の研究は「目立たせれば気づき、身につくのでは」という期待から始まりました。

ここまでのまとめ: 強調の研究は「気づいたものが残る」という理論から始まりましたが、強い主張には反論もあります。どちらも理論であり、効果は実験で確かめる必要があります。

教材の太字で文法は身につくのか|研究をまとめた結果

英語学び直したいユーイチ
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メタ分析って、普通の研究と何が違うんですか?

英語独学好きの助教S
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たくさんの実験を 1 枚の表に集めて平均を出す方法です。16 本の研究をまとめた分析では、教材の太字の効果は「わずか」でした。

Lee & Huang (2008) は、強調と文法の学習を調べた研究を集めたメタ分析です。メタ分析とは、クラスごとのテスト結果を 1 枚の表に集めて、学年全体の平均を出すような方法です。16 本の研究、20 の参加者グループがまとめられました。

結果は、強調ありの英文を読んだ人が、強調なしの人を「わずかに上回った」だけでした。比べた相手は、同じ文法の形をたくさん含むが強調はない英文を読んだ人です。この「たくさん含める」やり方は大量提示と呼ばれ、同じ形を何度も見せて慣れさせる工夫です。

効果の大きさは d=0.22 と報告されています。d は「2 つのグループの差がどれくらいか」を表す物差しです。0.22 は、強調ありの人の平均点が、なしの人よりほんの少しだけ上という差です。100 人ずつ並べると、強調ありの真ん中の人が、なしの人たちの上から 40 番目あたりに来るくらいのイメージです。

気になる数字もあります。話の中身を理解する力については d=-0.26 と、小さいながらマイナスでした。形に目を向けると、中身を追う余裕が少し減るかもしれない、ということです。著者は、形と意味の間に引っ張り合いがあることを示すと述べています。

著者は出版バイアスの可能性にも触れています。効果が出た研究ほど論文になりやすい偏りで、良い点の答案だけが掲示されるようなものです。

Han, Park & Combs (2008) は、強調の研究を広く見渡した総説です。総説とは、ある分野の研究を地図のように整理した論文です。結果がばらつく理由として、7 つの論点が挙げられました。

たとえば「学習者がもともと何を知っていたか」や「強調の使いすぎ」です。ただし使いすぎは論点として挙げただけで、害を実験で示したわけではありません。

ここまでのまとめ: 研究をまとめた分析では、教材の強調で文法の形が身につく効果は「わずか」で、話の中身の理解には小さなマイナスが出ました。研究ごとの条件の違いも大きいと整理されています。

目は止まるけれど、それで身につくのか

英語学び直したいユーイチ
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太字で目が止まれば、覚えられるんじゃ?

英語独学好きの助教S
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そう思いますよね。目の動きを機械で記録する研究では、太字で目は止まりました。ただ、それだけで身につくとは限らなかったんです。

Lee (2007) は、韓国の英語学習者 259 人が参加した実験です。強調のあり・なしと、話題になじみがあるか・ないかを組み合わせ、4 つの条件で英文を読みました。

対象は受動態です。受動態とは「窓が割られた」のような「〜される」の形です。結果、強調は受動態の形の学習を助けました。一方で、話の中身の理解にはマイナスの影響がありました。文法にライトを当てると形はよく見えるが、中身を追う余裕が減る。シーソーのような関係です。

ところが、Winke (2013) が同じ型の実験をやり直すと、違う結果になりました。研究をやり直して確かめることを追試と呼びます。料理のレシピを別の人が作っても同じ味になるか試すようなものです。

Winke の追試では、強調によって受動態のテストの伸びが有意に増えることはありませんでした。有意とは「偶然とは言いにくい、はっきりした差」という意味です。内容理解が有意に下がることもなく、シーソーの関係は見られませんでした。

この研究は、視線計測も使いました。視線計測とは、読んでいる人の目がどこを何秒見たかを機械で記録する方法です。すると強調ありの人は、受動態の部分を長く見て、何度も読み返していました。強調は確かに、目を止める看板の役目を果たしたのです。

それでも著者は、強調は気づきを促したが、説明がなければそれ以上のことはほとんどしなかったようだ、とまとめています。看板の前で立ち止まらせても、それだけで中身を覚えさせるとは限らない、ということです。

Indrarathne & Kormos (2017) は、スリランカの英語学習者 100 人の実験です。大量提示、強調、「この文法に注目して」という指示、文法の説明の 4 つのやり方を比べました。何もしないグループも置き、そのうち 45 人の目の動きを記録しました。

注目の増加と文法知識のはっきりした伸びが報告されたのは、「指示」と「説明」のグループでした。著者は、はっきりした指示や説明が、新しい文法に注意を向けるのに役立つと結論しています。ただし、強調グループの細かな結果は要約に書かれていないので、「強調は効かなかった」とまでは言えません。

目立たせる前に、何から学ぶかを決めておくのも 1 つの手です。その順番は大人の英文法やり直しは順番で 9 割決まるで扱っています。

ここまでのまとめ: 強調で目が止まることは視線計測で確かめられましたが、身につくかは研究によって結果が分かれています。説明や指示を添えた方が注意が向いた、という報告もあります。

太字・色・下線|見せ方で違いは出るのか

Simard (2009) は、フランス語を母語とする中学 2 年生くらいの英語学習者の実験です。英語の複数形の印、たとえば books の s のような部分が、どれだけ頭に取り込まれるかを調べました。

強調の見せ方を変えた 7 つのグループと、強調なしのグループを比べています。使う印の数や種類を変えた、という意味です。結果は「強調の見せ方によって、取り込まれ方に違いが出た」というものでした。

ただし要約には、どの見せ方が良かったかは書かれていません。「色を重ねるほど良い」とは言えません。言えるのは、同じ部分を目立たせるのでも、見せ方で頭への残り方が変わりうる、というところまでです。

ここまでのまとめ: 強調の見せ方を変えると、取り込まれ方に違いが出たという研究があります。ただし、どの見せ方が良いかは分かっていません。

決まった言い回しに下線を引くと何が起きるか

英語学び直したいユーイチ
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コロケーションって、何のことですか?

英語独学好きの助教S
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make a decision のような、お決まりの語の組み合わせです。下線を引いた実験では、引いた所は覚えやすくなりましたが、効果は外に広がりませんでした。

英語には make a decision (決断する) のような、決まった語の組み合わせがたくさんあります。研究ではコロケーションや語のかたまりと呼びます。セットで覚える「お決まりの組み合わせ」のことです。

Boers ら (2017) は、英語学習者に 3 種類の英文のどれかを読んでもらいました。たくさんの語のかたまりに下線を引いた英文、その半分にだけ下線を引いた英文、下線なしの英文です。

読んだ後、文章で見たと覚えている語のかたまりを答えてもらいました。予想どおり、下線を引いたかたまりの方が良く覚えられていました。ただし、下線の効果が、下線のないかたまりにまで広がった証拠はありませんでした。下線は、引いた所だけを照らすスポットライトのようなものです。

Choi (2017) は、大学生 38 人の目の動きを記録した実験です。コロケーションを強調した英文と、強調なしの同じ英文を読み比べてもらいました。

強調ありの人は、コロケーションを長く見て、後のテストでも良い成績でした。ところが、強調されていない本文の中身を思い出す量は、はっきり少なかったのです。テスト前に太字だけ見ていたら、太字以外の中身をあまり覚えていなかった、というのに近い結果です。

著者は、知らなかった語に頭の力を多く使い、他が手薄になったと考えています。ただし 38 人の小さな研究です。

2 つは別の結果です。Boers らは「周りは得をしない」、Choi は「周りが損をした」という結果です。

ここまでのまとめ: 語のかたまりに下線を引くと、その部分は覚えやすくなりましたが、効果は下線の外には広がりませんでした。強調されていない本文の思い出しが減った研究もあります。

自分で引くマーカーはどうか|英語以外の勉強の研究から

英語学び直したいユーイチ
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自分で引くマーカーって、意味ないんですか?

英語独学好きの助教S
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そうとまでは言えません。英語以外の勉強の研究では「いつも頼れる方法ではない」という評価ですが、条件しだいで記憶を助けた結果もあります。

ここからは自分で引く蛍光ペンの話です。注意として、ここで紹介するのはどれも英語以外の勉強の研究です。教科書の文章を読んで内容を覚える実験が中心で、英語の文法を身につける研究ではありません。

Dunlosky ら (2013) は、10 の勉強法を評価した長いレビューです。レビューとは、たくさんの研究を読み比べて通知表をつけるような論文です。マーカー引きは、学生がよく使うという理由で評価対象に選ばれました。

結果、練習テストと間をあけた復習は「有用性が高い」とされました。マーカー引きは、読み直しなどと並んで「有用性が低い」とされています。理由は、多くの学生が使っているのに、成績を一貫して高めるわけではないからです。

ただし「有用性が低い」は「効果ゼロ」ではなく、「いつも頼れる方法とは言えない」という評価です。

Yue ら (2015) は、文章をマーカーを引きながら、または引かずに 2 回読む実験です。2 回の読みは、間をあけるか続けるかのどちらかで、1 週間後にテストしました。

結果は、全体としてマーカー引きの効果が見られ、特に 2 回続けて読んだ場合に役立ちました。マーカーを引かなかった部分の知識が損なわれることもありませんでした。意外なことに、マーカーは役に立たないと思っていた学生ほど、恩恵が大きかったのです。著者は、条件によっては有益で、上手な引き方を教えるべきだと述べています。

「マーカーで覚えた気になる」とよく言われますが、この研究はその証拠ではありません。

Ponce, Mayer & Méndez (2022) は、自分で引くマーカーと、教える側が先に引いたマーカーを比べたメタ分析です。1938〜2019 年の 36 本の論文がまとめられました。ここでの数字は「効果量」で、マーカーを使った人と使わなかった人の差を表します。0.44 なら、マーカーを使った側の真ん中の人が、使わなかった 100 人の中で上から 33 番目あたりに来るくらいの差です。

自分で引くマーカーは、記憶を高めました (効果量 0.36)。一方、理解は高めませんでした (0.20)。0.20 はプラスの数字ですが、研究では「はっきり高めたとは言えない」側に分類されています。教える側が先に引いたマーカーは、記憶と理解の両方を高めました (どちらも 0.44)。

対象別に見ると、自分で引くマーカーは大学生では効果がありました (0.39)。小中高生では効果があるとは言えませんでした (0.24 で、研究では「効果なし」側に分類)。教える側のマーカーは、大学生 (0.41) と小中高生 (0.48) の両方で効果がありました。どこに引くかを選ぶ力が、効き方を左右しているのかもしれません。

引く量についての研究もあります。Joshi & Vogel (2024) は、画面で文章を読むソフトで、マーカーを引ける語の数に上限をつけた実験です。人とコンピュータの関わりを調べる分野の研究です。上限ありの人は、何も引かない人や好きなだけ引ける人より、読解テストの点が高くなりました。「1 ページに 3 本まで」と決めると、どこが大事か真剣に考える、というイメージです。

ここまでのまとめ: 英語以外の勉強の研究では、自分で引くマーカーは「いつも頼れる方法ではない」と評価される一方、条件しだいで記憶を助けた結果もあります。教える側が引いたマーカーは、記憶と理解の両方を高めたと報告されています。

研究から言える範囲での使い分け

1 つ目は、教材の太字は「目を止める看板」と割り切ることです。強調で目が止まることは確かめられていますが、それだけで身につくとは限りません。太字の文法を見つけたら、その仕組みの説明を読む一手間を足す。説明や指示で注意が向いたという研究とも合う使い方です。

2 つ目は、太字以外の部分も読むことです。強調されていない本文の思い出しが減った研究があります。太字だけを拾い読みせず、まず話の中身をつかむ読み方を 1 回入れておくと安心です。

3 つ目は、自分で引くなら量を絞ることです。引ける量を制限すると読解が良くなった研究があります。ただしこれは英語以外の文章の研究で、英語の文法に同じ効果があるとは確かめられていません。

4 つ目は、引いた後に自分で思い出してみることです。英語以外の勉強の研究では、練習テストが高く評価されています。マーカーの部分を隠して言えるか試す。マーカーを「テスト範囲の目印」に変える使い方です。

思い出して口に出す練習の効果は、英語のアウトプットは本当に効くのか|研究で分かった「話して伸びる人の条件」で詳しく扱っています。

研究の限界も知っておきましょう。参加者の多くは大学生や学校の生徒です。1 回読んですぐ、または 1 週間後にテストする短い実験が中心です。働きながら何か月も学ぶ社会人に、そのまま当てはまるかは分かっていません。

ここまでのまとめ: 研究から言えるのは、強調を目印として使い、説明を読む・全体も読む・量を絞る・後で思い出すといった一手間を足す使い方です。社会人の長期学習で確かめた研究は少ない点に注意が必要です。

AI に太字を付けてもらうと、研究の条件を満たせるのか

英語学び直したいユーイチ
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AI に太字を付けてもらえば、楽そうですよね

英語独学好きの助教S
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便利そうですよね。ただ、生成 AI が付けた太字の効果を確かめた研究はまだ少ないんです。人の太字と同じく、説明を読む一手間を足すのが無難です。

生成 AI (= 文章を自動で作るコンピュータの仕組み。ChatGPT など) に「大事な文法を太字にして」と頼むこともできます。その強調は、教材の強調と同じように働くのでしょうか。

正直に言うと、生成 AI が付けた強調の学習効果を確かめた研究は、まだ少ないのが現状です。今回の調べでは、そうした実験は見つかりませんでした。近いものとして、コンピュータが英文の文法を自動で目立たせる研究プロジェクトはあります。ただしこの論文は研究のやり方を論じたもので、効果の大きさは報告していません。

そこで、研究が示した条件を AI で満たせるかを、問いとして考えてみます。何を目立たせるかを AI が学習者に合わせて選べるか。強調の量を絞れるか。強調の外の中身を読む機会を残せるか。そして太字に加えて、仕組みの説明を添えられるか。ここまで満たしても、効果が出るかは研究で確かめるまで分かりません。この点を AI で検証した研究はまだ少ないので、今のところは AI が付けた太字も、人が付けた太字と同じく「それだけで身につくとは限らない」ものとして扱い、説明を読む一手間を足すのが、研究の範囲で言える使い方です。

よくある質問

Q1. 英語の勉強でマーカーを引くのは意味がないのですか?

A. 「意味がない」とは言えません。英語以外の勉強の研究では「いつも頼れる方法ではない」と評価されています。一方で、条件しだいで効果が見られた研究もあります。

Q2. 参考書の太字だけ覚えれば足りますか?

A. 研究からはおすすめしにくいです。強調した部分は覚えやすくても、効果は強調の外に広がりませんでした。強調されていない本文の思い出しが減った研究もあります。

Q3. マーカーを引くと「覚えた気になる」だけですか?

A. よく言われますが、Yue ら (2015) はその証拠ではありません。全体としてマーカー引きの効果があり、引かなかった部分も損なわれなかったと報告しています。

Q4. 何色も使って色分けした方が覚えやすいですか?

A. 分かっていません。強調の見せ方で結果が違った研究はありますが、どの見せ方が良いかは示されていません。

Q5. 自分で引くのと、先生が引いたものでは違いますか?

A. 英語以外の勉強の研究では、先生などが先に引いたマーカーは記憶と理解の両方を高めました。自分で引くマーカーは記憶を高めましたが、理解は高めませんでした。

まとめ

  • 研究では、教材が先に付けた強調と、自分で引くマーカーを別のものとして調べています。
  • 教材の強調で文法の形が身につく効果は「わずか」で、中身の理解には小さなマイナスが出ました。
  • 強調で目は止まりますが、身につくかは研究によって結果が分かれます。
  • 説明や「ここに注目」の指示を添えると、注意が向きやすかった研究があります。
  • 下線の効果は下線の外に広がらず、強調外の思い出しが減った研究もあります。
  • 自分で引くマーカーは、英語以外の勉強の研究で「いつも頼れる方法ではない」と評価されています。
  • それでも、条件や引く量しだいで役立つ結果があります。

参考文献

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最終更新日: 2026-10-17

著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 16 件の研究エビデンス(tier 1=15 件 / tier 2=1 件)を横断分析・再構成した。

画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より

この記事を編集した人

中村 拓(Taku Nakamura)のポートレート

(編集責任者 / 応用言語学・第二言語習得 エディター(非ネイティブ話者))

応用言語学のバックグラウンドを持つ英語学習分野のエディターで、査読済み SLA 論文・応用言語学ジャーナル・公的機関資料の横断要約と再構成を担当する編集責任者です。非ネイティブ英語話者で、大人の英語学び直しを研究の視点で編集しています。

編集した記事: 144 本

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