スマートスピーカーで英語の練習はできる?|聞く力・話す力を調べた研究から

家のスマートスピーカーで英語、練習になるんですか?

気持ちはわかります。実はこの問い、海外の大学などで何本も研究されているんですよ。ただ、答えは単純な「はい」ではないんです。

タダで毎日話せるなら、英会話教室より良さそうですよね?

多くの人がそう期待します。研究では「機械に通じるか」「力が伸びるか」「続けられるか」を分けて考えるのが基本なんです。

でも僕、発音に自信がなくて…通じなかったら心が折れそうです。

その不安は自然です。研究はそれも「どんな使い方なら続くか」という条件の問題として整理しているので、安心して読んでください。

じゃあ、具体的にはどう始めればいいんですか?

この記事では、音声アシスタントなどの研究 12 本を順番に見て、研究の条件に近い使い方まで整理していきます。
結論: Dizon という研究者の 2020 年の研究など、スマートスピーカーや音声アシスタントの研究では話す力が伸びたという報告が複数ある。
一方で、聞く力が伸びたとはっきり言える結果は出ていない。
機械が学習者の英語を聞き取れるかは、研究によって結果が分かれている。
「良かった」と答えても実際にはあまり使わず、通じないとあきらめる人も多かった。
学年が分かる研究の対象は大学生や中学生で、社会人を調べた研究は見つかっていない。
研究から言えるのは「条件しだいで話す練習の 1 つになりうる」までだ。
この記事でわかること
- 機械は日本人のような学習者の英語を聞き取れるのか、研究で分かれている結果
- 使い続けて話す力・聞く力が伸びたかを、比べる組をつくって調べた研究の中身
- 使った人の感想と、実際にどれくらい使ったかのずれ
- 研究で使われた課題に近い、条件つきの使い方
スマートスピーカーで英語練習、研究では何を調べてきたのか
家にスマートスピーカーがあると、英語で話しかけてみたくなる。
スマートスピーカーとは、声で頼むと答えてくれる置き型の機械のことだ。
研究の世界では、これを IPA と呼ぶ。
IPA は「声で話しかけると答えてくれる AI の助手」という意味の英語の略だ。
Alexa や Google アシスタント、Siri がこの仲間に入る。
スマホに入っている音声アシスタントも IPA に含まれる。
「タダで毎日話す練習になるのでは?」という期待は自然だ。
ただ、この期待には中身の違う 3 つの問いが混ざっている。
この記事では、問いを次の 3 つに分けて研究を見ていく。
- 機械と学習者は、お互いの英語を聞き取れるのか
- しばらく使い続けて、話す力や聞く力は伸びたのか
- 使った人はどう感じ、実際にどれくらい使ったのか
2 と 3 は、証拠の強さがちがう。
2 は、テストで力の変化を測った研究だ。
3 は、使った人の感想や様子を聞いた研究である。
「楽しかった」と「力が伸びた」は別の話なので、混ぜずに読む必要がある。
料理で言えば、「おいしかった」と「栄養がとれた」がちがうのと同じだ。
もう 1 つ、先に押さえておく点がある。
学年が分かる研究では、対象は大学生か中学生だった。
30 代の社会人を対象にした研究は、今回の調べでは見つからなかった。
この点は、記事の最後まで念頭に置いて読む必要がある。
ここまでのまとめ: 問いは「聞き取れるか」「力が伸びたか」「どう感じたか」の 3 つに分かれる。力の測定と感想は証拠の強さがちがう。
機械は日本人の英語を聞き取れるのか|研究で結果が分かれる

僕のカタカナ英語、Alexa は聞き取ってくれますか?

多くの人が気になる点です。人間並みに理解したという研究もあれば、頼みごとの半分しか通じなかった研究もあり、結果は分かれているんです。
最初の問いは、お互いの聞き取りだ。
機械が英語を聞き取る裏側には、音声認識という技術がある。
音声認識は、話した声を機械が文字に直すしくみのことだ。
いわば、機械についた「耳」にあたる。
「人間と同じくらい聞き取れた」という研究
Moussalli と Cardoso という 2 人の研究者は、まさにこの点を調べた。
論文の題は「IPA は、なまりのある学習者を理解し、理解されるか」だ。
なまりとは、母語 (= 生まれて最初に覚えた言葉) のクセが残った話し方のことだ。
日本人の英語がカタカナっぽく聞こえるのも、なまりの一種だ。
使われた機械は、Alexa が入った Amazon Echo だった。
なまりの強さがちがう学習者に、決めておいた質問をさせて返答の正確さを見た。
結果、学習者は Echo の英語を問題なく理解できた。
Echo も学習者のなまりによく適応し、人間の聞き手と同じくらい理解したと報告されている。
ただしこの研究でも、やりとりが行き詰まる場面はあった。
学習者はそのたびに、さまざまな工夫で行き詰まりを解消しようとしていた。
同じ著者らの以前の研究では、初級の学習者はなまりの程度によって苦労したとも書かれている。
「2 回に 1 回しか通じなかった」という研究
反対の結果もある。
Dizon という、この分野で多くの論文を書いている研究者の事例研究だ。
事例研究とは、少ない人数をじっくり観察する研究のことである。
1 本の木を細かく観察するような方法で、森全体の傾向までは分からない。
対象は日本の大学で英語を学ぶ 4 人で、1 人 20 分ずつ Alexa と話した。
学習者の頼みごとを Alexa が正しく理解できたのは 50% だけだった。
2 回お願いしたら 1 回は聞き間違えられる、くらいの通じにくさだ。
一方、対話しながら進む物語の機能では、理解された割合が 90% まで上がった。
決まった流れのある会話なら、通じやすかったということだ。
Dizon はのちに、IPA を使った研究をまとめて整理した。
その整理でも、IPA は学習者の英語を安定して理解できないことが限界として挙げられている。
なまりの強い学習者には使いにくい可能性がある、という指摘だ。
研究ごとに機械も時期も課題もちがうので、どちらが正しいとは言い切れない。
言えるのは「聞き取ってもらえる場合もあれば、通じにくい場合もある」までだ。
なお、自分の発音をどう直すかはAIで英語の発音を直せるかを音声認識の研究で調べた記事で扱っている。
ここまでのまとめ: 機械が学習者の英語を聞き取れるかは、人間並みとする研究と、半分しか通じないとする研究に分かれる。学習者が機械の英語を問題なく理解できたという研究もある。
授業で使い続けると、話す力は伸びたのか

「有意に伸びた」って、結局どういう意味なんですか?

「偶然とは言いにくい差」のことです。10 週間の研究では話す力にこの差が出ましたが、聞く力には出ませんでした。
2 つ目の問いは、使い続けて力が伸びたかどうかだ。
ここでは、使った組と使わない組を比べた研究を見る。
比べる組があると、「使ったから伸びたのか」をより確かめやすくなる。
10 週間、授業で Alexa と話した研究
Dizon は、英語を学ぶ学生を 2 つの組に分けて比べた。
片方の組 (13 人) は授業の中で Alexa と話し、もう片方 (15 人) は話さなかった。
期間は 10 週間だった。
結果、話す力は Alexa と話した組のほうが有意に大きく伸びた。
有意とは、「偶然とは言いにくい差」があるという意味だ。
コインを 10 回投げて 9 回表が出たら、たまたまとは思いにくい、という感覚に近い。
ところが聞く力の伸びには、2 つの組のあいだに有意な差が見られなかった。
著者自身も「話す力を伸ばす道具として役立つかもしれない」と控えめに述べている。
画面つきの Alexa で 7 回練習した研究
Hsu らの研究チームも、Alexa で似た実験をした。
使ったのは、画面のついた Amazon Echo Show だ。
2 つのクラスを無作為に、使う組と使わない組に分けた。
無作為とは、くじ引きのように偶然で組分けすることである。
使う組は、約 50 分の Alexa の時間を 7 回受けた。
両方の組が、実験の前後に TOEIC 形式の模擬テストを受けた。
TOEIC は、社会人もよく受ける英語の試験のことだ。
結果、話す力で有意な差が見られた。
一方、聞く力の結果は論文の要約にはっきり書かれていない。
使った組のアンケートでは、話す機会が増え、話す不安が減ったという答えがあった。
ただしこれは感想であり、力を測った結果ではない点に注意したい。
ここまでのまとめ: 授業で Alexa を使った 2 つの研究では、話す力に有意な差が出た。聞く力は、伸びたと言える結果が出ていない。
教室の外で短く続けた研究では何が分かったか

授業じゃなく、家で一人で使っても効果あるんですか?

大学 1 年生が教室の外で 1 回 10 分・週 2 回続けた研究では、話す力が伸びました。ただ対象は学生で、社会人の研究は見つかっていません。
授業の中ではなく、家などで使った研究もある。
社会人の独学に近いのは、こちらの形だ。
1 回 10 分・週 2 回をスマホで続けた研究
Tai という研究者は、大学 1 年生 89 人を調べた。
教室の外で、1 回 10 分・週 2 回を 1 学期のあいだ続けてもらった。
学生は、くじ引きのように偶然で 3 つの組に分けられた。
1 つ目は Google アシスタント、2 つ目は英語を母語とする人と話す組だ。
3 つ目は、英語を第二言語として使う人と話す組だった。
結果、Google アシスタントと話した組は、話す力が有意に伸びた。
その伸びは、英語を母語とする人と話した組と同じくらいだった。
ただし、使われたのはスマートスピーカーではない。
スマートフォンに入っている Google アシスタントだった。
インタビューでは、すぐに返事が来るので話す練習になったという声があった。
間違いへの恐れや話す不安が減った、とも語られている。
中学生が 2 週間使った研究
Tai と Chen は、Google アシスタントと「話そうとする気持ち」の関係を調べた。
この気持ちは、研究では WTC と呼ばれる。
WTC は、「英語で話してみたい」と思う気持ちの強さのことだ。
プールで「飛び込んでみようかな」と思えるかどうか、に近い。
対象は 8 年生 (日本でいう中学 2 年生) の 112 人で、期間は 2 週間だった。
使う前と後にアンケートをとり、WTC が有意に高まったと報告されている。
伝える自信が上がり、話す不安が下がったことも示されている。
ここで気をつけたい点が 3 つある。
対象は中学生で、30 代の社会人とは年齢も生活もちがう。
測ったのはアンケートの気持ちで、話す力そのものではない。
比べる組があったかは要約からは読み取れず、他の方法より良いとは言えない。
AI 相手の不安や話す気持ちについては、社会人の AI 英会話で何が伸びるかをまとめた記事でも扱っている。
ここまでのまとめ: 大学 1 年生がスマホの Google アシスタントを教室外で使った研究では、話す力が伸びた。中学生の研究で分かったのは気持ちの変化で、話す力ではない。
使った人はどう感じたか、実際には使ったのか

正直、買っても僕は使わなくなりそうです…

気持ちはわかります。2 か月使ってもらった研究でも、「役に立つ」と答えた学生の多くが、実際にはあまり使っていなかったんですよ。
3 つ目の問いは、使った人の感想と実際の使い方だ。
ここに入る研究は、力をテストで測ったものではない。
「いいね」と言いながら、あまり使わなかった
Dizon と Tang は、日本の大学生 14 人にスマートスピーカーを配った。
そして 2 か月間、家で Alexa を自由に使ってもらった。
これは自律学習、つまり先生に言われずに自分で進める学習の調査だ。
アンケートでは、多くの学生が Alexa を英語学習に役立つと評価した。
ところが多くの学生は、期間中に Alexa を積極的には使わなかった。
さらに、うまく通じないとあきらめてしまう傾向があった。
著者は、学習者が「言うこと」と「実際にすること」のずれを指摘している。
ジムの会員証をもらって「いいね」と言いながら、あまり通わなかった状態に近い。
できることと、できないこと
先に紹介した 4 人の事例研究では、学生の声から 3 つの話題が見つかった。
1 つ目は、日本語の助けが無いので、やりとりの効率が落ちるという声だ。
2 つ目は、間接的な発音フィードバックが役に立つという声だった。
これは、聞き間違えられたことで「今の音は通じなかった」と気づける合図、と考えるとよい。
3 つ目は、会話する機会が手に入りやすくなるという声だった。
Dizon がまとめた研究の整理も、得意なことと限界を並べている。
得意なことは、英語で意味のあるやりとりの機会が増えることだ。
話す力を高めることや、間接的な発音フィードバックも挙げられている。
限界は、先に見た「学習者の英語を安定して理解できない」点である。
ここまでのまとめ: 使った人の多くは好意的に評価したが、実際にはあまり使わず、通じないとあきらめる人もいた。感想が良いことと、使い続けて伸びることは別だ。
会話の練習相手として何が足りないのか

「メタ分析」って言われても、ピンと来なくて…

たくさんの研究結果を集めて平均を出す方法です。会話練習用システムでは中くらいの効き目でしたが、スマートスピーカーの数字ではないんです。
スマートスピーカーは、もともと英語学習のために作られた機械ではない。
では、会話の練習用に作られたシステムと比べると、何がちがうのか。
会話練習用のシステムの研究
Bibauw らの研究チームは、コンピュータと外国語で会話して練習するシステムの研究を集めた。
これはシステマティック・レビューという方法である。
決まった手順で関係する研究を全部集め、種類ごとに整理する方法だ。
図書館の本を残らず集めて、棚に並べ直す作業に近い。
この研究では 343 本の文献を集め、条件に合う 96 のシステムを見つけた。
そして会話の自由さなどで 4 つのタイプに分けた。
結果として、やる気と英語の力の両方にプラスの証拠があるとまとめている。
ただし、この研究は効き目の大きさを数字で出したものではない。
IPA と直接比べた研究でもない点に注意したい。
効き目の大きさを数字で出した研究
数字で効き目を見たのが、Hou と Min のメタ分析だ。
メタ分析とは、たくさんの研究の結果を集めて平均を出す方法である。
クラス全員のテストを集めて、平均点を出すようなものだ。
会話システムが話す力に与える効果を、16 の研究から計算した。
全体の効き目は中くらいで、数字では g=0.61 だった。
平均的な人が、使ったことでクラスの上位 3 割くらいに上がる程度の効き目だ。
効き目の大きさは、システムの種類や、声か文字かといった形式で変わった。
ただし、どの種類が大きかったかは要約に書かれていない。
IPA がこの中に含まれるかも分からないので、この数字を IPA の効果とは読めない。
研究から見える足りない点
ここまでの研究をつなぐと、足りない点は 2 つに整理できる。
1 つは、学習者の英語を安定して聞き取れない場合があることだ。
もう 1 つは、通じないと学習者があきらめやすいことである。
会話練習用のシステムがなぜ効くのかは、AI 英会話が効くしくみを研究で整理した記事で詳しく扱っている。
ここまでのまとめ: 会話練習用のシステムには中くらいの効き目が報告されているが、その数字は IPA の効果ではない。IPA には聞き取りの不安定さと、あきらめやすさという限界が見えている。
研究の範囲で考える、スマートスピーカーの使い方
ここからは研究で使われた課題に近い形で、条件つきの提案をする。
どれも「これで話せるようになる」と約束するものではない。
1. 決まった質問から始める
聞き取りの研究では、あらかじめ決めた質問を機械にさせていた。
天気や時間、単語の意味など、答えがはっきりした質問から始めると近い形になる。
流れの決まった会話では通じやすかったという結果もある。
2. 聞き返されたら、言い直しを練習にする
通じなかったとき、学習者はさまざまな工夫で対処しようとしていた。
ただし、どの工夫が効くのかは論文の要約からは分からない。
聞き間違えられたこと自体が、発音の合図になるとも整理されている。
一方で、通じないとあきらめる人が多かったことも分かっている。
そこで、研究で確かめたものではないが、次の決めごとを提案する。
1 つの言葉で 2〜3 回試して通じなければ、別の言い方に変えてみる。
それでもだめなら、その日は深追いしない。
どちらも研究の結果ではなく、あきらめを防ぐための工夫だ。
3. 短く、回数を多くする
教室外の研究では、1 回 10 分・週 2 回を 1 学期続けていた。
長く一度にやるより、短く続ける形のほうが研究の条件に近い。
「使うと言って使わない」というずれも報告されている。
朝の支度の時間など、使う場面を先に決めておくとよい。
4. 返事が聞き取れたかを確かめる
聞く力が伸びたという結果は出ていない。
それでも、機械の返事を聞き取れたかを自分で確かめることはできる。
聞き取れなかった返事は、もう一度言ってもらうよう頼んでみる。
最後に、研究の限界をもう一度確認しておく。
ここまでの音声アシスタントの研究は、人数が 4 人から 112 人、期間は 20 分から 1 学期だった。
学年が分かる研究の対象は大学生と中学生で、社会人の研究は見つかっていない。
英語の練習全体の中の 1 つの道具として、ほかの練習と組み合わせるのが無理のない使い方だ。
ここまでのまとめ: 決まった質問から始め、言い直しを練習にし、短く回数を多く使うのが研究の条件に近い。ただし社会人での効果は確かめられていない。
生成 AI が入った音声アシスタントなら、通じにくさの壁は越えられるか

ChatGPT みたいな AI が入れば、もっと通じますよね?

期待したくなりますよね。ただ、生成 AI が入った音声アシスタント本体で英語学習を調べた研究は、今回の調べでは見つかっていないんです。
最近の音声アシスタントには、生成 AI が入り始めているとされる。
生成 AI とは、質問に合わせて返事の文章をその場で作り出す AI のことだ。
では、研究で見えた「聞き取りの不安定さ」と「あきらめやすさ」は、これで埋まるのだろうか。
近い研究はまだ少ないが、2 つ見つかった。
1 つは、ベトナムの学生 116 人が ChatGPT と声で 8 週間話した研究だ。
話すテストの点は 8 週間の前後で上がり、その差 (効果量) は d=1.34 と大きかった。
効果量とは、差の大きさを測る物差しのことである。
d=1.34 は、平均的な人が始める前の自分たちの上位 1 割くらいまで上がるほどの差だ。
ただしこの研究には、使わない組がいない。
そのため、伸びが ChatGPT のおかげか、8 週間の授業や慣れのおかげかは区別できない。
満足度と伸びにも、はっきりした関係はなかった。
もう 1 つは、日本の大学生 30 人がスマホの ChatGPT と 15 週間話した研究だ。
学生は質問に答えるだけの受け身の話し方が多かった。
回を重ねると自分から話す量は増えたが、話をさえぎられる問題がくり返し起きた。
それがやる気の低下につながったと報告されている。
著者は、生成 AI は人との会話を「置き換える」のではなく「補う」ものだとまとめている。
生成 AI が入った音声アシスタント本体を英語学習に使った研究は、今回の調べでは見つからなかった。
つまり、「研究で見えた限界を生成 AI が埋めるか」は、まだ確かめた研究が少ない問いだ。
ここまでのまとめ: 生成 AI との会話で話す点が上がった研究はあるが、比べる組がない。音声アシスタント本体で限界が埋まるかは、まだ分からない。
よくある質問
Q1. スマートスピーカーに話しかけるだけで英語は話せるようになりますか?
A. そう言い切れる研究は見つかっていない。
授業や教室外で使った研究では、話す力が伸びたという報告が複数ある。
ただし学年が分かる研究の対象は大学生で、期間は 7 回の授業から 1 学期ほどだった。
Q2. 聞く力 (リスニング) も伸びますか?
A. 伸びたとはっきり言える結果は出ていない。
10 週間の研究では、聞く力に有意な差は見られなかった。
別の研究でも、聞く力の結果は要約に明記されていない。
Q3. 日本人の発音でも機械は聞き取ってくれますか?
A. 研究によって結果が分かれる。
人間と同じくらい理解したという研究もあれば、頼みごとの 50% しか通じなかった研究もある。
通じないときに工夫して対処していたことは報告されているが、どの工夫が効くかは要約からは分からない。
Q4. Alexa と Google アシスタント、どちらで練習すべきですか?
A. 研究では両方が使われているが、どちらが良いかを比べた研究は今回見つかっていない。
Alexa は授業の研究で、Google アシスタントは教室外の研究で使われていた。
Q5. 社会人が独学で使っても同じ結果になりますか?
A. 社会人を対象にした研究は、今回の調べでは見つからなかった。
研究は大学生と中学生が中心なので、そのまま当てはまるとは言えない。
試すなら、研究の課題に近い使い方から始めるのが無理がない。
まとめ
音声アシスタントで英語を話した研究では、話す力が伸びたという報告が複数ある。
一方で、聞く力が伸びたと言える結果は出ていない。
機械が学習者の英語を聞き取れるかは、研究によって結果が分かれている。
使った人の多くは好意的に評価したが、実際にはあまり使わない人もいた。
通じないとあきらめやすいことも、研究で見えた大切な点だ。
学年が分かる研究の対象は大学生と中学生で、社会人での効果はまだ分からない。
決まった質問から始め、言い直しを練習にし、短く続けるのが、研究から組み立てた使い方だ。
参考文献
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- Moussalli, S., & Cardoso, W. (2020). Intelligent personal assistants: Can they understand and be understood by accented L2 learners? Computer Assisted Language Learning, 33(8), 865-890. https://doi.org/10.1080/09588221.2019.1595664
- Hsu, H.-L., Chen, H. H.-J., & Todd, A. G. (2023). Investigating the impact of the Amazon Alexa on the development of L2 listening and speaking skills. Interactive Learning Environments, 31(9), 5732-5745. https://doi.org/10.1080/10494820.2021.2016864
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最終更新日: 2026-10-18
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 12 件の研究エビデンス(tier 1=11 件 / tier 2=1 件)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より
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