英語の目標は人に言うと逆効果?|研究でわかる続く宣言と続かない宣言

英語の目標って、人に言うとダメって本当なんですか?

気持ちはわかります。結論から言うと、研究を並べると「言うな」も「言え」も一面だけを見た話で、どこかに分かれ目があることが見えてきます。

僕、宣言しては数週間で止まるんですよね…

多くの人がそうです。心理学では、目標を立てても行動に移らない「やる気と行動のすき間」が、長く研究されてきたテーマなんですよ。

研究と言われても、僕にもできるんですか?

大丈夫です。研究はこれを意志の強さではなく、伝え方の設計の問題として整理しています。根性で何とかする話ではありません。

具体的には、どこから知ればいいですか?

この記事では、目標を人に知られた実験や記録の研究を順番に見ていきます。英語学習で確かめた研究がどこまであるかも正直に書きます。
結論: 目標を人に言う研究を並べると、「人に言うな」も「宣言すれば続く」も半分だけ正しい。2009 年の心理学の実験では、なりたい自分に向けた意図 (やろうとしていること) を知られると、行動が減ることがあった。一方、立場が上の人に知られると本気度と成果が上がり、138 研究のまとめでは進み具合の記録や報告が目標達成を後押ししていた。分かれ目は「何を、誰に言うか」だ。ただしどれも一般の目標研究で、英語学習で確かめたものではない。
この記事でわかること
- 「目標は人に言うな」の元になった実験が、本当は何を調べたのか
- 目標を知らせる相手によって、本気度と成果がどう変わったか
- 目標そのものより「進み具合」を見せることが、なぜ研究と合うのか
- 英語学習でこの話を確かめた研究が、どこまであるのか
「人に言うな」と「宣言しろ」はどちらが本当か
「今年こそ TOEIC 800 点を取ります」と職場や SNS で宣言した。
TOEIC は、社会人がよく受ける英語の試験です (990 点満点)。
応援やいいねをもらってその日は気分が上がったのに、数週間で手が止まった。
この記事は、そんな経験をした人が抱く疑問から出発します。
ネットを調べると、正反対の 2 つの説が見つかります。
1 つは「目標は人に言うと達成できなくなる」という説です。
もう 1 つは「人に宣言して逃げ道をなくせば続く」という説です。
この記事では、元になった研究を 1 本ずつ確かめます。
研究は 3 つの問いに分けると整理できます。
「何を言うか」「誰に言うか」「英語学習で確かめた研究はあるか」の 3 つです。
紹介する研究の多くは、大学生や社会人の一般的な目標を調べたものです。
英語学習者を対象にした実験ではないことを、その都度ことわります。
ここまでのまとめ: 「人に言うな」と「宣言しろ」は、研究で見るとどちらも半分だけ正しい。この記事では「何を言うか」「誰に言うか」「英語学習の研究はあるか」に分けて確かめる。
言うと逆効果になりうる場合|目標を知られた 4 つの実験

「英語ができる人になる」と言うのもダメなんですか?

気持ちはわかります。2009 年の心理学の実験では、なりたい自分に向けた予定を人に知られると、かえって行動が弱まることがありました。
「目標は人に言うな」の元としてよく挙がるのが、2009 年の論文です。
書いたのは Gollwitzer らで、この論文をまとめた心理学者のグループです。
論文は心理学の学術誌に載り、4 つの実験をまとめています。
調べたのは「自分らしさに関わる目標 (identity goal)」です。
つまり「こういう人になりたい」という、自分の姿そのものの目標です。
英語でいえば「英語が話せる人になる」が、この型にあたります。
論文の例は「弁護士になる」という目標を持つ人です。
その目標のために「法律の雑誌を定期的に読む」という意図を立てます。
意図とは「これをやるつもりだ」という行動の予定のことです。
この意図を他人に知られた人と、知られなかった人を比べました。
結果は、知られた意図のほうが行動に移される度合いが弱いというものでした。
人に知ってもらったほうが、かえって行動が減っていたのです。
1 週間の取り組みを追ったフィールド調査でも、この傾向が見られました。
フィールド調査とは、実験室の外のふだんの生活の中で行動を追う調べ方です。
行動のチャンスにすぐ飛びつくかを見た実験室の実験でも、同じ向きでした。
大事な条件がもう 1 つあります。
この効果が出たのは、目標への本気度が強い人だけでした。
本気度が弱い人では、知られても知られなくても差が見られませんでした。
なお、論文の要旨には参加者の人数や効果の大きさの数字がありません。
そのため、この記事でも数字は出しません。
対象は英語学習者ではないので、英語で同じことが起きるかは分かりません。
ここまでのまとめ: なりたい自分の目標のための意図を人に知られると、行動に移す度合いが弱まった実験がある。効果が出たのは本気度が強い人で、対象は英語学習者ではない。
なぜ言うだけで満足してしまうのか|「しるし」で自分を満たす考え方

宣言しただけで満足するって、どういうことですか?

ジムの会員証を作っただけで鍛えた気分になるのに近いです。1982 年の本で示された「しるしで自分を満たす」という考え方が土台です。
では、なぜ人に知られると行動が減ったのでしょうか。
4 つ目の実験が、その手がかりを示しています。
意図を人に知られると、目指す自分にもうなったような感覚が生まれていました。
いわば「早すぎる達成感」で、まだ何もしていないのにゴールを半分くぐった気分です。
この説明の土台は、1982 年の本で示された考え方です。
Wicklund と Gollwitzer という 2 人の心理学者が書いた本です。
名前は「symbolic self-completion (シンボルで自分を満たす)」といいます。
ジムの会員証を作っただけで、少し鍛えた気分になるようなものです。
2009 年の論文も、この考え方を実験の土台として挙げています。
英語に置きかえると、次の流れが考えられます。
「英語ができる人になる」と宣言し、たくさんの応援をもらう。
その応援が「もう英語をがんばっている人」というしるしになりかねません。
すると、教材を開く前に心がある程度満たされてしまうのです。
ただし、これは研究から考えられるつながりです。
SNS のいいねで同じことが起きるかを、直接確かめた研究ではありません。
この本は理論の本なので、実験結果の根拠としては使えません。
宣言したのに続かなかった人は、「自分は口だけだ」と責めがちです。
しかし研究が示すのは、人の心にもともとある仕組みのほうです。
挫折した後の立て直しは、英語をまたやめるのが怖い人へ向けた、挫折の原因とやり直しの研究でくわしく扱っています。
ここまでのまとめ: 意図を人に知られると、目指す自分にもうなったような早すぎる達成感が生まれていた。背景には「しるしで自分を満たす」考え方があるが、SNS で確かめた研究ではない。
誰に言うかで変わる|立場が上の相手に知られた研究

上司に言うのと SNS に書くのは違うんですか?

実は相手で変わりうるんです。2020 年の研究では、自分より立場が上だと感じる相手に知られるほど、本気度と成果が高くなっていました。
「やはり黙っているべきか」と思うのは、まだ早いです。
目標を「誰に」知られるかを調べた研究は、別の顔を見せています。
2020 年に、働く人の心理を扱う学術誌に載った Klein らの論文です。
Klein らは、この論文で 4 つの研究をまとめた研究者のグループです。
注目したのは、目標を知らせる相手の立場の高さでした。
研究ごとに対象者や調べ方、相手の種類は違っていました。
調べた中心は「目標への本気度 (goal commitment)」です。
これは「この目標は絶対にやりとげる」と思う気持ちの強さのことです。
結果は 4 つの研究で一貫していました。
相手の立場が高いと感じるほど本気度が高く、その先の成果も高かったのです。
仕組みとして挙げられたのは「評価されることへの気がかり」です。
部活の顧問の先生に「毎日練習します」と言うと、見られている気がする感覚です。
著者らは、目標を人に知らせるだけでは本気度は上がらないとまとめています。
上の立場だと感じる相手に知らせることが大切だ、という結論です。
英語なら、上司や先生に「来月までに教材を 1 冊終えます」と伝える場合があります。
SNS で顔の見えない多くの人に「英語がんばります」と書く場合もあります。
Klein らの研究の仕組みに当てはめると、評価される感覚に近いのは前者の伝え方です。
ただし英語学習で確かめた研究ではなく、要旨に人数などの数字もありません。
関連して、Epton らの 2017 年のメタ分析もあります。
Epton らは、行動を変える研究を集めて分析した研究者のグループです。
メタ分析とは、世界中の研究を集めて全体の傾向を出す方法です。
目標を立てること自体の効果を、141 本の論文 (合計 16,523 人) から調べました。
目標を立てると、小さいながらプラスの効果がありました (d = .34)。
これは、立てた組の平均的な人が、立てない組の 100 人中 63 人くらいを上回る強さです。
効果が特に大きかったのは、目標を公に立てた場合などでした。
Gollwitzer らの結果と矛盾するように見えるかもしれません。
ただ、Epton らの対象は健康などの行動を変える研究で、なりたい自分の目標に限りません。
対象も調べ方も違うので、「言い方や場面で結果が変わりうる」と読むのが自然です。
ここまでのまとめ: 目標を知らせる相手の立場が上だと感じるほど、本気度と成果が高かった研究がある。目標を公に立てると効果が大きかったまとめ研究もあるが、どちらも英語学習ではない。
目標より「進み具合」を見せる|記録と報告のまとめ研究

目標じゃなく進み具合を言うと、何が違うんですか?

138 の研究をまとめた分析では、進み具合を確かめるよう促すと目標達成が後押しされ、報告や公開をした場合に効果が大きくなっていました。
3 つ目の柱は、目標ではなく「進み具合」を扱った研究です。
Harkin らの 2016 年のメタ分析で、心理学の学術誌に載りました。
Harkin らは、138 の研究を 1 つにまとめた心理学者のグループです。
調べたのは「進み具合を確かめること (progress monitoring)」です。
体重を毎日記録して、今の自分がどこにいるかを確かめるようなことです。
集めたのは、進み具合を確かめるよう促す介入の実験です。
介入とは、研究者が「こうしてみてください」と行動を働きかけることです。
対象は 138 の研究で、参加者は合わせて 19,951 人です。
どれも、介入を受ける組と受けない組を、くじ引きのように無作為に分けていました。
まず、介入で進み具合を確かめる回数が大きく増えました (d+ = 1.98)。
受けた組の平均的な人が、受けない組の 100 人中 98 人くらいを上回るほどの差です。
次に、目標の達成も後押しされていました (d+ = 0.40)。
こちらは、受けない組の 100 人中 66 人くらいより目標に近づいた強さです。
確かめる回数が増えたことが、目標達成への道すじになっていました。
この記事にとって大事なのは、次の結果です。
進み具合を人に報告したり公開したりした場合に、効果が大きくなっていました。
ノートなどに実際に記録を残した場合も、効果が大きくなっていました。
条件ごとの効果の数字は要旨に無いので、ここでは書きません。
Gollwitzer らの研究と並べると、見えてくるものがあります。
なりたい自分を言うと、早すぎる達成感が生まれうる。
一方で、進み具合を見せると後押しになりうる。
同じ「人に言う」でも、中身が「目標」か「進み具合」かで結果が分かれています。
ただしこれも健康などさまざまな目標の研究で、英語学習に限ったものではありません。
ここまでのまとめ: 進み具合を確かめるよう促すと、目標の達成が後押しされていた (138 研究のまとめ)。報告・公開や記録を残した場合に効果が大きかったが、英語学習に限った結果ではない。
「ちょっと進んだ」で気がゆるむ落とし穴

アプリを開いただけで、やった気になるんですよね…

多くの人がそうです。2005 年の研究では、目標で少し進んだと感じた人ほど、合わない行動を選びやすくなりました。運動後のケーキと同じです。
進み具合を見せるときにも、落とし穴があります。
Fishbach と Dhar による 2005 年の研究です。
2 人は、この論文で 4 つの研究を行った心理学者です。
人はふつう、仕事と家庭のように複数の目標を同時に持っています。
この研究では、1 つの目標で進んだと感じた人ほど、それと合わない行動を選びやすくなりました。
ジョギングした日に「今日は頑張ったから」とケーキを食べてしまうような動きです。
これから進むつもりだと計画するだけでも、同じことが起きる場合がありました。
英語の宣言にもつながる話です。
「宣言した」「アプリを開いた」という手応えが、残りをサボる言い訳になりうるのです。
早すぎる達成感と同じく、「やった気分」が次の行動を弱める仕組みです。
ただし、この研究は英語学習を調べたものではありません。
要旨に書かれているのも「言い訳になる」側の結果だけです。
どう伝えれば気がゆるまないかまでは、この研究からは言えません。
ここまでのまとめ: 目標で進んだと感じたり、進む計画を立てたりするだけで、合わない行動を選びやすくなった研究がある。気がゆるまない伝え方までは示していない。
英語学習そのものでの研究はあるか

英語学習で直接調べた研究はないんですか?

実験は見つかりませんでした。近いのは中国の英語学習サービスの利用データの研究で、見張り合う相棒がいると記録は増え、学習時間は減っていました。
ここまでの研究は、どれも英語学習者を対象にしたものではありませんでした。
英語学習で「目標を人に言う」効果を実験で確かめた研究は、見つかりませんでした。
いちばん近いのは、2025 年に情報システムの国際学会で発表された研究です。
Zhang らは、この発表で学習サービスの利用データを分析した研究者のグループです。
対象は、中国の英語学習サービス「Shanbay」の利用データです。
注目したのは「アカウンタビリティ・パートナー」という機能です。
2 人が互いの進み具合を伝え合い、見張り合う仕組みのことです。
勉強の見張り役になってくれる相棒のようなものです。
パートナーがいると、学習したという記録 (チェックイン) は増えていました。
一方で、実際の学習時間は減り、「勉強したふり」の行動が増えていました。
報告のためにアプリを少しだけ開いて終わる、という、形だけの動きです。
パートナー同士のやりとりや本人の目標があると、悪い効果は和らいでいました。
これは、利用者を無作為に分けた実験ではなく観察研究です。
観察研究とは、手を加えずに起きたことを記録して関係を探る調べ方です。
そのため「パートナーのせいで学習時間が減った」とまでは言えません。
英語のテストの点数も調べていません。
つまり、英語学習そのもので宣言の効果を確かめた研究は、まだ少ないのが現状です。
ここまでのまとめ: 英語学習で目標の宣言の効果を確かめた実験は見つからなかった。近いのは英語学習サービスの見張り合い機能の観察研究で、記録は増えたが学習時間は減っていた。
研究から考えられる言い方の工夫
ここまでの研究から考えられる工夫を、2 つにまとめます。
英語学習で効果が確かめられた対策ではないことに注意してください。
先に、研究からは言えないことを 1 つ確認しておきます。
「目標ではなく行動の予定を言えば大丈夫」とは言えません。
Gollwitzer らの実験で知られたのも、「法律の雑誌を読む」という行動の予定でした。
進むつもりだと計画するだけで、気がゆるむ場合もありました。
言い方を変えれば逆効果を避けられるかは、研究からは分かりません。
1 つ目は、応援してくれる多くの人より、確かめてくれる特定の人に言うことです。
上司や先生、進み具合を確かめ合える学習仲間などが候補になります。
2 つ目は、進み具合を記録して、定期的に報告することです。
ただし報告だけが目的になると、「ふり」が増えるおそれもあります。
見張り合いの観察研究では、相手とのやりとりがあると悪い効果が和らいでいました。
目標設定の研究全体には、35 年分をまとめた Locke と Latham の総説もあります。
Locke と Latham は、目標の立て方を長年研究してきた 2 人の研究者です。
目標の立て方についての、教科書のような論文です。
行動のきっかけを前もって決める「if-then プラン」も研究されています。
「朝のコーヒーを入れたら英語の音声を 1 本聞く」のように、きっかけと行動をセットで決める方法です。
くわしくは英語のやる気が続かない理由を心理学で解いた記事で扱っています。
進み具合を見せ合うと、他の人の進み具合も目に入ります。
比べて落ち込むときの対処は、英語ができる人と比べて落ち込むときの「比べ方」の研究で扱っています。
ここまでのまとめ: 研究から考えられる工夫は、確かめてくれる人に言う、進み具合を記録して報告する、の 2 つ。行動の予定に言い換えれば逆効果を避けられるかは分からず、どれも英語学習で確かめられた対策ではない。
アプリの記録や AI への報告は「人に見せる」代わりになるか
学習アプリの記録や、AI チャットボットへの報告で、研究の条件を満たせるでしょうか。
チャットボットとは、文字や声で会話できるコンピューターのプログラムです。
近い研究として、Hew らはチャットボットに学生の目標づくりを手伝わせました。
Hew らは、オンライン授業でのチャットボットの使い方を調べた研究者のグループです。
英語を外国語として学ぶ学生が、学習仲間役のチャットボットと練習する試みもありました。
学生の感想は肯定的でしたが、目標の達成や学習の続き方は調べていません。
アプリの連続記録 (ストリーク) を調べた実験もあります。
カレンダーに毎日シールを貼って「何日続いた」を見せるような仕組みです。
ペルーの小学生約 60,000 人の実験で、強調すると算数アプリの利用が増えました。
ただし専門家の審査前の論文で、子どもの算数の研究であり、AI も使っていません。
Klein らの研究で効いていたのは、立場が上の「人」に見られる感覚でした。
AI に目標や進み具合を報告すると学習が続くのかを、確かめた研究はまだ少ないのが現状です。
だからこそ問うべきは、AI の記録を、人に進み具合を見せる材料にできるかという点です。
ここまでのまとめ: アプリの記録や AI への報告が、人に進み具合を見せるのと同じ働きをするかは、確かめた研究がまだ少ない。
よくある質問
Q1. 英語の目標は人に言わないほうがいいのですか?
A. 一概には言えません。なりたい自分に向けた意図 (やろうとしていること) を知られると行動が減った実験がある一方、立場が上の人に知られると本気度と成果が上がった研究もあります。何を、誰に言うかで結果が変わりうると考えるのが研究と合います。
Q2. SNS で英語の目標を宣言すると挫折しますか?
A. そうとは言えません。SNS での宣言を直接確かめた研究は見つかっていません。いいねで達成した気分になりうるのは、研究から考えられるつながりにとどまります。
Q3. 誰に目標を言うのがいいですか?
A. 研究では、自分より立場が上だと感じる相手に知られたときに、本気度と成果が高くなっていました。英語学習なら上司や先生がその例ですが、英語学習で確かめた研究ではありません。
Q4. 勉強の記録を人に見せるのは意味がありますか?
A. 進み具合を確かめるよう促す実験 138 件のまとめでは、目標の達成が後押しされ、報告や公開をした場合に効果が大きかったです。ただし報告が目的になると「勉強したふり」が増えた観察研究もあります。
Q5. 宣言したのに続かなかったのは、意志が弱いからですか?
A. 意志だけの問題ではありません。なりたい自分に関わる意図を人に知られると、達成した気分が先に来ることが実験で見られました。ただしこれは目標への本気度が強い人で見られた結果です。次は進み具合を伝える形に変えるほうが、記録と報告のまとめ研究と合います。
まとめ
「目標は人に言うな」の元の実験では、なりたい自分の意図を知られると行動が減っていました。
その背景には、まだ何もしていないのに達成した気分になる心の仕組みがありました。
一方で、立場が上の相手に知られると、本気度と成果が高くなった研究があります。
進み具合を記録して報告すると、目標の達成が後押しされたまとめ研究もあります。
分かれ目は「言うかどうか」ではなく「何を、誰に言うか」です。
ただし、どれも一般の目標研究で、英語学習で確かめたものではありません。
次に宣言するなら、進み具合を、確かめてくれる人に伝えてみましょう。
参考文献
- Gollwitzer, P. M., Sheeran, P., Michalski, V., & Seifert, A. E. (2009). When Intentions Go Public: Does Social Reality Widen the Intention-Behavior Gap? Psychological Science, 20(5). https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2009.02336.x
- Wicklund, R. A., & Gollwitzer, P. M. (1982). Symbolic Self-Completion. Lawrence Erlbaum Associates (2013 年 Routledge 再刊). https://doi.org/10.4324/9781315825663
- Klein, H. J., Lount, R. B., Jr., Park, H. M., & Linford, B. J. (2020). When goals are known: The effects of audience relative status on goal commitment and performance. Journal of Applied Psychology, 105(4). https://doi.org/10.1037/apl0000441
- Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2). https://doi.org/10.1037/bul0000025
- Epton, T., Currie, S., & Armitage, C. J. (2017). Unique effects of setting goals on behavior change: Systematic review and meta-analysis. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 85(12). https://doi.org/10.1037/ccp0000260
- Fishbach, A., & Dhar, R. (2005). Goals as Excuses or Guides: The Liberating Effect of Perceived Goal Progress on Choice. Journal of Consumer Research, 32(3). https://doi.org/10.1086/497548
- Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002). Building a practically useful theory of goal setting and task motivation: A 35-year odyssey. American Psychologist, 57(9). https://doi.org/10.1037/0003-066X.57.9.705
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38. https://doi.org/10.1016/S0065-2601%2806%2938002-1
- Zhang, X., Sabzehzar, A., Zhou, T., & Guo, H. (2025). Impacts of Accountability Partners on Users’ Online Learning Behaviors. Proceedings of the Hawaii International Conference on System Sciences (HICSS). https://doi.org/10.24251/hicss.2025.004
- Hew, K. F., Huang, W., Du, J., & Jia, C. (2023). Using chatbots to support student goal setting and social presence in fully online activities: learner engagement and perceptions. Journal of Computing in Higher Education, 35(1). https://doi.org/10.1007/s12528-022-09338-x
- Aulagnon, R., Cristia, J., Cueto, S., & Malamud, O. (2025). Streaks to Success? The Effects of Highlighting Streaks on Student Effort and Learning. National Bureau of Economic Research Working Paper w34173. https://doi.org/10.3386/w34173
最終更新日: 2026-11-05
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 11 件の研究エビデンス(tier 1=8 / tier 2=3)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より
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