英単語は日本語訳で覚えていい?|英英辞典が正解という思い込みを研究で確かめる

英単語に日本語訳をつけて覚えるのって、やっぱりダメなんですか?

気持ちはわかります。ただ、その助言の多くは体験談が元で、実際に比べた研究は少し違う絵を描いていますよ。

えっ、違うんですか? 英英辞典で覚えるのが正しいと思ってました。

多くの人がそう思っています。この分野では何十年も前から比較研究が重ねられていて、結論は思い込みと同じ向きではないんです。

でも僕、英英辞典を試して挫折したんですよね…

よくある話です。研究はそれを根性の問題ではなく、覚える順番をどう設計するかという問題として整理していますよ。

順番…? 具体的にはどう始めればいいんですか?

この記事では研究を 11 本、順番に見ていきます。データを一つずつ確かめれば、自分の進め方は自然に決まりますよ。
結論: 日本語訳で英単語を覚えることに、後ろめたさを持つ必要はない。
母語の訳をつけた場合と英語だけの説明で示した場合を実際に比べた研究では、訳をつけたほうが一貫してよく覚えられていた。
ただし同じ研究群は、訳で覚えた語が実際の英文の中では使えないことがある点も示している。
だから「どちらが正解か」ではなく、覚える段階では日本語訳を使い、定着した語から英語の言い換えへ移る順番の問題として考えるとよい。
この記事でわかること
- 「日本語訳をつけずに英英辞典で覚えるべきだ」という助言を、実際に比べた研究がどう評価しているか
- 訳をつけたほうがよく覚えられたという、一般論とは逆向きの実験結果
- 「覚えた数」は増えるのに「英文の中で使えない」という、もう一つの面
- 覚える段階と定着後の段階で日本語訳と英語の説明を切り替える、具体的な手順
「日本語訳で覚えるのはダメ」と言われて手が止まる

単語帳の訳を隠すたびに、罪悪感があるんです。

その罪悪感は根拠が薄いかもしれません。第二言語の語彙研究 (= 単語の覚え方を調べる分野) が何十年も比べてきた話です。
「英単語は日本語訳をつけずに覚えたほうがいい」。
英語の学び直しを始めると、この助言をどこかで必ず目にする。
「英英辞典を引けるようになってこそ上級者だ」という言い方もよく聞く。
そこで単語帳の訳を隠し、英英辞典を開いてみた人は多いはずだ。
ところが実際にやってみると、英語の説明を読み解くだけで時間がかかる。
読み終わっても、その単語を覚えた実感が残らない。
結局、日本語訳つきの単語帳に戻してしまう。
そして「自分は楽なほうに逃げているのではないか」という気持ちだけが残る。
この後ろめたさは、たいてい気持ちの持ちようの問題として語られる。
しかし確かめるべきなのは、書き手の体験談ではなく、実際に比べた結果のほうだ。
第二言語の語彙学習 (= 母語を身につけたあとに学ぶ言葉の単語を、どう覚えるかを調べる研究分野) では、この比較が何十年も前から行われてきた。
ここで言う母語とは、生まれたときから自然に使ってきた言葉のことで、日本で育った人なら日本語にあたる。
そして研究の結果は、よく聞く助言とは向きが違っている。
ここまでのまとめ: 「訳をつけずに覚えるべきだ」という助言は広く流通しているが、根拠として示されるのは体験談が多い。実際に比べた研究を先に見たほうが判断を誤りにくい。
実際に比べた研究は、逆の結果を出していた

4 通りも見せ方を変えたんですか? 大変そう…

ええ。Laufer と Shmueli の 1997 年の研究です。結果は、日本語のような母語の訳をつけた側が一貫してよく覚えられていました。
この問いを正面から扱ったのが、Laufer と Shmueli が 1997 年に発表した研究である。
これは、同じ単語を見せ方を変えて配り、どの配り方が一番頭に残るかを比べた実験だと考えると分かりやすい。
この研究は、新しい単語の見せ方を 4 通りに分けた。
単語だけを単独で示す形、短い 1 文の中で示す形、まとまった本文の中で示す形。
そして説明を添えた本文の中で示す形である。
そのうえで、それぞれを母語の訳語をつける条件と、英語だけの説明で示す条件に分けた。
覚えた量は、学習した直後と、時間をおいたあとの両方で測られた。
結果は、母語の訳語をつけた語のほうが一貫してよく覚えられていた。
つまり日本語訳をつけて覚えることは、覚えやすさの点では不利になっていない。
この研究はもう一つ、意外な結果も示している。
提示の仕方で比べると、単語リストや短い 1 文で示したほうが、まとまった本文の中に埋め込むよりよく覚えられていた。
さらに、特別な工夫をせず自分で覚えるだけの統制群 (= 比べるためにあえて何もしない相手グループ) が、最も定着が低かった。
著者らは、母語との結びつけが単語の記憶にとって重要であることを示す結果だと述べている。
ここまでのまとめ: 母語の訳をつけた語のほうが、英語だけの説明で示した語より一貫してよく覚えられていた。日本語訳で覚えることは、覚えやすさでは不利になっていない。
訳で「答え合わせ」ができた人のほうが意味を覚えていた
同じ向きの結果は、他の研究でも出ている。
Grace が 1998 年に報告した研究は、自分で答えを予想してから答え合わせをすると記憶に残りやすい、という形をとっている。
この研究では、学習者が文の意味を自分で推測したあとに、母語の訳で確認できる条件と、確認できない条件が比べられた。
訳で確認できた学習者のほうが、短い間隔でも長い間隔でも正しい語義をよく保持していた。
その差は p<.001 という水準で認められている。
これは「偶然でこれだけの差が出る見込みは 1000 回に 1 回もない」という意味の目安だ。
著者は、文脈から意味を推測する深い処理の利点と、訳で意味を確認できる利点が組み合わさることで定着が強まると考えている。
推測だけでは、誤った意味のまま覚えてしまう危険が残る。
訳はその誤りを直す答え合わせの役割を担っている。
近い結果は読解中の学習でも見つかっている。
Hulstijn たちの 1996 年の研究は、フランス語の上級学習者に短編を読ませ、3 つの条件を比べた。
これは、読書中に知らない単語にぶつかったとき、意味の教え方をどう変えると頭に残るかを比べた実験だと考えると分かりやすい。
未知語の横に母語の訳を書いた欄外グロス (= 本文の余白に添える、小さな意味のメモ) がある条件。
二言語辞典 (= 英和辞典のように、英語と日本語という二つの言葉を並べて引く辞書) を使ってよい条件。
そして何も与えない条件である。
その結果、意味が与えられている場合のほうが、同じ語に何度も出会う効果がよく働いていた。
意味情報がないと、読み手は未知語を読み飛ばしたり、意味を取り違えたりしやすい。
そうなると、何度出会っても記憶が積み上がらない。
初級者を対象にした研究でも同じ方向の結果が出ている。
Ramachandran と Rahim の 2004 年の研究は、翻訳法が効くかどうかを確かめたものである。
翻訳法とは、先生が日本語のような母語を仲立ちにして単語の意味を教えるやり方のことだ。
これは、授業で新しい単語を出すたびに先生が日本語訳を橋渡しとして渡す形だと考えると分かりやすい。
結果は、翻訳法が語の意味を思い出せることと、時間がたっても残ることの双方に良い影響を与えることを示した。
さらに Lotto と de Groot の 1998 年の研究は、覚え方そのものを比べた実験である。
イタリア語をまったく知らない成人 56 名が、イタリア語の単語 80 語を学習した。
訳語を添えて示す方法と、意味する物の絵を添えて示す方法が比べられた。
結果は、訳語で学ぶ方法のほうが絵で学ぶ方法より成績が良かった。
また、つづりや音が似ていて見当がつく同根語や、よく使われる語のほうが覚えやすかった。
ここまでのまとめ: 推測のあとに訳で答え合わせをする形、読解中に訳を添える形、絵ではなく訳で示す形のいずれでも、母語の訳は記憶を支える側に働いていた。
ただし「覚えた数」と「使えるか」は別だった

覚えたはずなのに、英文だと出てこないんです。

Prince の 1996 年の研究も同じです。思い出せる数は増えたのに、英語の力がまだ浅い人ほど実際の文で使えていませんでした。
ここで話を終えると、片面しか見ないことになる。
同じ研究群は、訳語のもう一つの面もはっきり示している。
Prince が 1996 年に発表した研究は、テストで思い出せることと、実際の試合で使えることは別だ、という話に近い。
この研究は、学習者を訳語で学ぶ条件と文脈で学ぶ条件に分けた。
そして新しい単語の再生テストを行った。
思い出せた語の量では、訳語で学んだほうが文脈で学んだより優れていた。
ここまでは、これまでの話と同じ向きである。
問題はその先だ。
習熟度の低い学習者は、覚えた語を実際の英語の文脈へ転用することができなかった。
つまり、単語帳の上では答えられるのに、英文の中では出てこないということが起きる。
著者は、文脈学習と訳語学習それぞれの利点を組み合わせる学び方を検討すべきだと提言している。
この「覚えたのに使えない」という感覚は、多くの学び直し組が実感しているところだろう。
なぜ手持ちの語が口から出てこないのかについては、覚えたはずの英単語が口から出てこない本当の理由と『使える単語』に変える手順で詳しく扱っている。
大事なのは、この結果を「だから訳はダメだ」と読まないことである。
訳語は覚える入口としては強い。
ただし入口を通っただけでは、出口までは届かない。
ここまでのまとめ: 訳語で学ぶと思い出せる語の数は増えたが、英語の力がまだ伸びていない人ほど、その語を実際の英文で使えていなかった。
直後は効いたのに、4 週間後には差が消えていた

1 か月で忘れるの、僕だけじゃないんですか?

あなただけではありません。Jacobs たちの 1994 年の研究では、直後に出ていた差が 4 週間後には消えていました。
もう一つ押さえておきたいのが、時間の問題である。
Jacobs たちが 1994 年に報告した研究は、直後は効いたのに 1 か月後には差が消える、薄れていく下書きのような結果を示した。
対象は、英語を母語とするスペイン語学習者 85 名である。
条件は 3 つに分けられた。
グロスなし、英語によるグロス、スペイン語によるグロスである。
全体の再生成績には、有意な差 (= たまたまの偶然ではなく、はっきりした違いと言えるレベルの差) は出なかった。
ただし、習熟度が平均より高い学習者は、グロスがついているほうがよく覚えていた。
そして最も重要なのが次の点だ。
直後のテストではグロスありが単語の翻訳課題で優位だったのに、4 週間後の再テストではその差が消えていた。
この結果は、短期の覚えやすさと長期の残りやすさが別の話だということを示している。
訳語をつけて覚えると、覚えた直後の手応えは確かに良い。
しかしその手応えは、放っておけば時間とともに薄れていく。
だからこそ、覚えたあとの復習をどう設計するかが効いてくる。
忘れる速さと復習の間隔の関係については、英単語が1週間で消える理由と忘却曲線でわかった復習タイミングで整理している。
残す側の手がかりも研究にはある。
Hulstijn と Laufer が 2001 年に検証したのは、関与負荷 (= その課題で学習者がどれだけ手間をかけるかの度合い。筋トレの負荷に近いイメージ) という考え方である。
この研究では、読解だけ、読解に目標語の穴埋めを足したもの、目標語を使った作文、という 3 つの課題が比べられた。
結果、保持量は課題の関与負荷の大きさと対応していた。
最も高かったのは作文で、次が読解と穴埋め、最も低かったのが読解だけだった。
つまり、訳を見て終わりにするのではなく、その語を自分で使う一手間が長く残す側に効く。
ここまでのまとめ: グロスの効果は直後のテストでは出たが、4 週間後には差が消えた。覚えた直後の手応えと長期に残ることは別で、使う一手間が保持を支える。
なぜ日本語訳は「入口」に強いのか
ここまでの結果は、ばらばらの偶然ではない。
語彙習得研究の標準的な教科書とされる Nation の整理が、その理由を説明している。
これは語彙学習の分野全体をまとめた一冊で、教科書のような位置づけの本である。
Nation は、母語の訳語が新しい語の形と、すでに学習者の頭の中にある意味概念を最短距離で結びつけると整理している。
たとえば reluctant という語を覚えるとき、「気が進まない」という感覚は、日本語ですでに持っている。
訳語を使うと、新しい音とつづりを、その既にある感覚に直接つなぐだけで済む。
一方、英語だけの説明で覚えようとすると、説明文そのものを読み解く作業が先に入る。
この読み解きには、まだ十分でないかもしれない英語の力が必要になる。
つまり負担が二重になる。
同時に Nation は、文脈に応じた使い分けや運用の力は、訳語による結びつけとは別に鍛える必要があるとも位置づけている。
この「別に鍛える」という部分が、Prince の結果に対応している。
全体像としては、Schmitt の総説が参考になる。
この総説は、必要な単語数と学び方の全体像を示した、語彙学習の地図のような論文である。
そこでは、英語で不自由なく読むには 8,000〜9,000 の語族が必要だとされている。
語族とは、happy と happiness のように、同じ語から派生した仲間をひとまとめに数える単位である。
話し言葉でも、おそらく 5,000〜7,000 語族が必要だという。
さらに 1 語ごとに複数の側面を学ぶ必要があり、全体としては大きな学習課題になる。
だからこそ、意図的に覚える要素と、接触量を増やして自然に覚わる要素の両方が必要になる。
語彙知識は少しずつ積み上がるものであり、長期的な計画が要るとも述べられている。
この視点に立つと、入口を重くする選択は合理的ではない。
ここまでのまとめ: 母語の訳は、新しい語形をすでにある意味の感覚へ最短距離でつなぐため入口に強い。一方で文脈での使い分けは別に鍛える必要がある。
明日からできる二段階の使い分け

英英辞典は、いつ足せばいいんですか?

訳が迷わず出る語からで十分です。関与負荷 (= 自分で手間をかける度合い。筋トレの負荷に近い) が高い課題ほど残ると研究は示しています。
以上をふまえると、やるべきことは二択の決着ではなく順番の設計になる。
第 1 段階は、日本語訳つきで単語と意味の結びつきを作ることである。
ここでは訳を隠さない。
新出語は日本語訳と一緒に見て、形と意味の結びつきを最短で作る。
この段階で英英辞典を使うと、読み解きの負担で回転数が落ちる。
1 周の目安は、意味が 1 秒前後で浮かぶかどうかだけを見る。
第 2 段階は、思い出せるようになった語だけを対象に英語側へ広げることである。
切り替えの目安は、その語の日本語訳が迷わず出てくるようになったかどうかだ。
訳が出るようになってから、次の 3 つを足す。
1 つ目は、英語の言い換えを 1 つ確認することである。
reluctant なら not wanting to do something のような短い言い換えで十分だ。
2 つ目は、その語が入った例文を 1 つ声に出して読むことである。
3 つ目は、よく一緒に使われる語を 1 つ覚えることである。
reluctant なら reluctant to accept のような組み合わせが該当する。
この第 2 段階は、作文や穴埋めのように自分で使う作業に近いほど残りやすい。
だから、確認して終わりにせず、その語を使った短文を 1 つ作るところまでやるとよい。
単語帳のどこで切り替えるかも決めておきたい。
おすすめは、単語帳を 2 周目まで訳つきで回し、3 周目以降で正答した語だけ英語側の確認に回す形だ。
3 周目で間違えた語は、遠慮なく第 1 段階に戻してよい。
訳語に戻ることは後退ではなく、入口の作り直しである。
なお、英文を読むときに頭の中で日本語へ訳してしまう癖は、覚え方とは別の論点になる。
そちらは英語を英語のまま理解できない理由と頭の中の日本語訳を減らす方法で扱っている。
ここまでのまとめ: 第 1 段階は訳つきで形と意味を結ぶ。第 2 段階は思い出せる語だけを対象に、言い換え・例文・組み合わせへ広げる。
英英辞典が本当に向いている場面と、この記事の限界

じゃあ英英辞典は、もう使わなくていい?

いえ、出番はあります。3 種類の辞書を比べた研究では、使う人の慣れによって向くタイプが変わる可能性が示されました。
ここまでの話は、英英辞典に価値がないという意味ではない。
辞書の種類そのものを比べた研究もある。
Laufer と Hadar が 1997 年に行った研究は、3 種類の辞書の有効性を比べた。
比べたのは英英辞典、二言語辞典、そして bilingualised 辞典 (= 英語の説明と訳語の両方が並ぶ折衷型の辞書) の 3 つである。
参加者は高校生と大学生の学習者 123 名だった。
低頻度語 15 語を使い、新出語を理解できたかと、自分の文の中で使えたかの両方が測られた。
結果は、辞書を使う力量が異なる利用者には異なるタイプの辞書が適している可能性を示した。
これは、同じ道具でも使う人の慣れで向き不向きが変わる、という結果だと読める。
実際の使い分けとしては、英英辞典は次のような場面で力を発揮する。
似た意味の語の違いや、日本語訳では区別がつかない使い分けを知りたいとき。
そして、その語が使われる場面の雰囲気をつかみたいときである。
たとえば、日本語訳がどちらも「見る」になる語の違いは、訳だけでは埋まらない。
こうした場面では、英語の説明のほうが情報量が多い。
最後に、この記事の限界も正直に書いておく。
ここで紹介した研究は、読解中の意味メモや単語リストを使った実験が中心である。
学習者の母語や英語の力の範囲も限られている。
日本語を母語とする社会人だけを対象にした実験ではない。
また、Jacobs たちの研究のように、全体では有意な差が出なかったものも含まれている。
つまり「訳をつければ必ず勝つ」という強い主張はできない。
言えるのは、訳をつけることが不利になるという根拠は見当たらない、というところまでである。
ここまでのまとめ: 英英辞典は、似た語の違いや使い分けを確かめる場面で強い。研究の対象は限られており、訳が必ず勝つとまでは言えない。
よくある質問
Q. 日本語訳で覚えるのは、悪い癖になりますか。
実際に比べた研究では、母語の訳をつけたほうが一貫してよく覚えられていた。覚える段階で訳を使うことが不利になるという結果は見当たらない。
Q. 英英辞典はいつから使い始めればよいですか。
その語の訳が迷わず出てくるようになってからでよい。辞書の研究でも、使う人の力量によって向くタイプが変わる可能性が示されている。
Q. 単語帳の日本語訳を隠すやり方は効果がありますか。
思い出す練習としては意味がある。ただし初めて見る語の段階で隠すと、意味の確認ができず誤って覚える危険が残る。
Q. 訳で覚えた単語が英文で出てこないのはなぜですか。
訳語学習は思い出せる数を増やす一方、習熟度が低いうちは実際の文脈への転用が難しいと報告されている。使う練習を別に足す必要がある。
Q. 覚えた直後は完璧だったのに、1 か月後に忘れているのは普通ですか。
グロスの効果が 4 週間後には消えていたという報告があり、珍しいことではない。復習の間隔を設計して補うほうが現実的である。
まとめ
「英単語は日本語訳をつけずに英英辞典で覚えるべきだ」。
この助言は広く流通しているが、実際に両条件を比べた研究は逆の結果を出している。
母語の訳をつけた語のほうが、英語だけの説明で示した語より一貫してよく覚えられていた。
推測のあとに訳で確認できた学習者のほうが、正しい語義をよく保持していた。
だから、日本語訳で覚えている自分に後ろめたさを持つ必要はない。
ただし研究は、もう一つの面も同時に示している。
訳で覚えた語の数は増えても、実際の英文の中では使えないことがある。
直後に出た差が、4 週間後には消えていたという報告もある。
つまり訳語は入口としては強いが、出口までは連れていってくれない。
Nation の整理に沿って考えるなら、これは順番の問題である。
覚える段階では日本語訳を遠慮なく使う。
思い出せるようになった語から、英語の言い換えや例文へ広げていく。
この二段階で回すことが、研究がそろって示している内容に最も近いやり方になる。
参考文献
- Laufer, B., & Shmueli, K. (1997). Memorizing New Words: Does Teaching Have Anything To Do With It? RELC Journal, 28(1), 89-108. https://doi.org/10.1177/003368829702800106
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- Grace, C. A. (1998). Retention of Word Meanings Inferred from Context and Sentence-Level Translations: Implications for the Design of Beginning-Level CALL Software. The Modern Language Journal, 82(4), 533-544. https://doi.org/10.1111/j.1540-4781.1998.tb05541.x
- Jacobs, G. M., Dufon, P., & Fong, C. H. (1994). L1 and L2 vocabulary glosses in L2 reading passages: Their effectiveness for increasing comprehension and vocabulary knowledge. Journal of Research in Reading, 17(1), 19-28. https://doi.org/10.1111/j.1467-9817.1994.tb00049.x
- Laufer, B., & Hadar, L. (1997). Assessing the Effectiveness of Monolingual, Bilingual, and “Bilingualised” Dictionaries in the Comprehension and Production of New Words. The Modern Language Journal, 81(2), 189-196. https://doi.org/10.1111/j.1540-4781.1997.tb01174.x
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- Lotto, L., & de Groot, A. M. B. (1998). Effects of Learning Method and Word Type on Acquiring Vocabulary in an Unfamiliar Language. Language Learning, 48(1), 31-69. https://doi.org/10.1111/1467-9922.00032
- Schmitt, N. (2008). Review article: Instructed second language vocabulary learning. Language Teaching Research, 12(3), 329-363. https://doi.org/10.1177/1362168808089921
- Nation, I. S. P. (2013). Learning Vocabulary in Another Language (2nd ed.). Cambridge University Press. https://www.cambridge.org/core/books/learning-vocabulary-in-another-language/
最終更新日: 2026-09-25
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 11 件の研究エビデンス(tier 1=10 件 / tier 2=1 件)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より
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