- AIに作らせた英語の小テストで力はつく?|研究でわかった効く使い方と落とし穴
- ChatGPTの小テストは「勉強した気になるだけ」なのか
- 読み直すより「思い出す」ほうが残る|テスト効果の研究
- 教室の小テストでも効くのか|約4万8千人の学生のデータ
- AIや機械は良い問題を作れるのか|自動問題作成の研究の全体像
- ChatGPTの英語読解問題はプロに届くか|文章は自然、選択肢は課題
- 実用化した研究でも「人のチェック」が入っていた
- 間違った4択で練習すると、間違いを覚えてしまうことがある
- 研究から導けるAI小テストの使い方|4つの注意点
- まだ分かっていないこと|AIの問題で練習した効果の研究は少ない
- 「思い出す」と「答え合わせ」をAIの小テストで満たせるか
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- この記事を編集した人
AIに作らせた英語の小テストで力はつく?|研究でわかった効く使い方と落とし穴

ChatGPTに英語の小テストを作らせてるんですけど、これで力はつきますか?

気持ちはわかります。手軽なぶん、本当に効いているのか不安になりますよね。記憶の研究には、この疑問を考える手がかりがちゃんとあるんですよ。

解けてる気はするんです。でも、勉強した気になってるだけかも…

多くの人がそこで迷います。勉強法の研究でも、「やった感じ」と「身についた力」は分けて考えるのが基本なんです。感覚だけでは判断しにくいんですよ。

それに、AIの問題が間違ってたら、間違いを覚えそうで怖いです。

大事な心配です。研究はこれを、問題の作り方と答え合わせの仕方という設計の問題として整理しています。順番にほどけば、怖さの正体が見えてきますよ。

じゃあ、具体的にはどこから確かめればいいんですか?

この記事では、記憶の研究、AIが作る問題の質の研究、間違いのリスクの研究を順番に見ていきます。研究で言えることと言えないことも、きちんと分けますね。
結論: 記憶の研究では、読み直すより小テストで思い出すほうが記憶に残りやすいと、多くの研究のまとめで示されている。一方、AI が作る問題は文章は自然でも、選択肢の出来や正解のあいまいさに弱さが報告されている。4 択で間違った答えを覚えてしまうことは、答え合わせで減らせる。AI の小テストは「答え合わせ込み」で使うのが研究と合う使い方だ。ただし、AI が作った英語の問題で練習した効果を直接確かめた研究はまだ少ない。
この記事でわかること
- 小テスト (思い出す練習) が読み直しより記憶に残りやすい理由
- AI や機械が作る英語の問題は、どこがプロに近く、どこが弱いのか
- 4 択の間違った選択肢を覚えてしまうリスクと、答え合わせの役割
- 研究から言える、AI の小テストの安全な使い方と、まだ分からないこと
ChatGPTの小テストは「勉強した気になるだけ」なのか
通勤電車で ChatGPT に「この単語で 4 択クイズを作って」と頼む。
数秒で 10 問が出てきて、解くとそれなりに正解できる。
「これで本当に力がつくのか」という心配が 1 つ目です。
「AI の問題や答えが間違っていたら、間違いを覚えてしまうのでは」が 2 つ目です。
この記事では、この心配を 3 つの段に分けて研究で確かめます。
1 段目は、小テストそのものに効果があるのか。
2 段目は、AI や機械が作る問題の質は信用できるのか。
3 段目は、質の悪い問題で練習するとどうなるのか、です。
先に線引きをしておきます。
「小テストは効く」には強い研究の裏付けがあります。
しかし「AI が作った英語の小テストで練習すると伸びる」と直接確かめた研究は、まだ少ないのが現状です。
ここまでのまとめ: AI の小テストが効くかは「小テストの効果」「AI の問題の質」「間違った問題のリスク」の 3 段に分けると見えやすい。強い裏付けがあるのは 1 段目だけだ。
読み直すより「思い出す」ほうが残る|テスト効果の研究

書く問題と4択の問題って、覚えやすさが違うんですか?

違います。メタ分析 (= たくさんの研究の平均を出す研究) では、選ぶより自分で思い出して書く形のほうが、テストの効果は大きかったんです。
記憶の研究には「テスト効果」という言葉があります。
テスト効果とは、テストを受けること自体が覚える練習になる現象です。
つまり、テストは力を測る道具であるだけでなく、力をつける道具にもなる、ということです。
Rowland (2014) は、テストと読み直しを比べた研究をまとめたメタ分析です。
メタ分析とは、たくさんの研究結果を集めて、全体の傾向を計算し直す研究のことです。
1 回の実験の結果より、クラス全員の平均点のように偏りが小さくなります。
この研究で注目したいのは、問題の形による違いです。
最初のテストが「何も見ずに思い出して書く形式」のとき、「選択肢から選ぶ形式」よりテスト効果が大きくなりました。
努力して思い出す処理 (= 頭の中を探して答えを引っぱり出す苦労) が、効果の一因だと支持されています。
答えを見て「あ、これね」と選ぶより、自分で書き出すほうが頭の中の道が踏み固められる、というイメージです。
Adesope ら (2017) も、練習テストの研究をまとめたメタ分析です。
練習テストは、読み直しを含む他のすべての比較条件より学習に有利でした。
ただし、効果の大きさは、テストの形式や参加者、研究のやり方によって変わっていました。
外国語の単語でも、同じ方向の実験があります。
Karpicke と Roediger (2008) は、大学生が外国語の単語を覚える実験を行いました。
一度正解できた単語を、その後も読み直し続けても、後日の記憶にはほぼ効果がありませんでした。
一方、テストで思い出し続けると、大きなプラスの効果が出ました。
また、学生が予想した「どれくらい覚えているか」は、実際の成績と関係がありませんでした。
単語帳での具体的な覚え方は、単語帳を何周しても覚えられない人へ向けた、覚え方を変える記事で詳しく扱っています。
ここまでのまとめ: 思い出す練習は読み直しより記憶に残りやすい。とくに選択肢から選ぶより、自分で思い出して書く形のほうが効果が大きかった。
教室の小テストでも効くのか|約4万8千人の学生のデータ

実験室の話って、普段の勉強にも当てはまるんですか?

いい疑問です。約4万8千人の学生のデータでは、教室の小テストでも成績が中くらい上がりました。クラスの真ん中の人が上から3分の1あたりに近づく強さです。
実験室の結果が、実際の勉強でも通用するとは限りません。
そこで Yang ら (2021) は、教室で行われた小テストの研究だけを集めて調べました。
この研究は、決まった手順で研究を集める「体系的レビュー」とメタ分析を組み合わせたものです。
体系的レビューは、図書館の本を「この条件に合うものは全部」と漏れなく集めるような調べ方です。
集めたのは 222 の研究、合わせて 48,478 人の学生のデータです。
結果、小テストは学業成績を中くらいに高めていました (g = 0.499)。
g = 0.499 (= クラスの真ん中くらいの人が、小テストを続けると上から 3 分の 1 くらいの位置まで上がる程度の強さ) という中くらいの効果です。
ただし、効果の大きさはいろいろな条件で変わっていました。
たとえば、何と比べたか、練習と本番でテストの形や内容がそろっていたかです。
正解を教えるフィードバックがあったか、何回くり返したか、も関係していました。
フィードバックとは、解いたあとに「正解は何で、どこが違ったか」を受け取ることです。
ここで正直に書いておくことがあります。
この研究のまとめには、英語 (外国語) の学習だけに絞った数字は示されていません。
「英語の小テストでも同じだけ効く」とは、この研究だけでは言い切れません。
外国語の単語では、さきほどの Karpicke と Roediger の実験が同じ方向を示している、というところまでです。
TOEIC など試験対策での使い方は、「思い出す」「間をあけて復習」が効く理由を記憶の研究で解説した TOEIC 勉強法の記事にまとめています。
ここまでのまとめ: 教室の小テストでも成績は中くらい上がっていた。ただし効果は条件で変わり、英語学習に絞った数字はまだ示されていない。
AIや機械は良い問題を作れるのか|自動問題作成の研究の全体像
ここからは、AI や機械が作る問題の質を見ていきます。
機械に問題を作らせる「自動問題生成」の研究は、ChatGPT 以前からあります。
教科書の文章を入れると、機械が穴うめ問題などを作ってくれる仕組みです。
Kurdi ら (2020) は、教育向けの自動問題生成の論文 93 本を体系的レビューで整理しました。
対象は 2015 年から 2019 年初めまでの研究です。
いわば「問題を作る機械」の研究をまとめて健康診断したような調査です。
その結果、いくつかの苦手分野が見えてきました。
問題の難しさを狙って調整すること、問題の形を多様にすることには、研究がほとんど向いていませんでした。
解説やフィードバックを自動で作る研究も少なかったのです。
さらに、問題の質をどう評価するかの物差しが研究ごとにばらばらで、統一が必要だと指摘されています。
なお、このまとめは ChatGPT 登場前の技術が対象です。
今の生成 AI の問題の質を、そのまま示すものではありません。
語学向けには、良い結果を出した研究もあります。
Chinkina ら (2020) は、英語学習者向けに句動詞の問題を自動で作るシステムを作りました。
句動詞とは、look up や give up のように、動詞と小さな語の組み合わせで意味が変わる表現です。
多くの人にネット経由で評価してもらう方法 (クラウドソーシング) で、語学教師の問題と比べました。
その結果、自動で作った問題は、人が書いた問題と同程度と判断されました。
ただし、これは生成 AI ではなく、決まったルールで問題を作る仕組みです。
評価したのは問題の質の印象で、学習者がどれだけ伸びたかは測っていません。
ここまでのまとめ: 機械が問題を作る研究は以前からあるが、難しさの調整や解説づくりは手薄で、評価の物差しもばらばらだった。狙いを絞った語学問題では人と同程度という結果もある。
ChatGPTの英語読解問題はプロに届くか|文章は自然、選択肢は課題

ChatGPTの英文って自然ですよね。問題もプロ並みなんですか?

文章の自然さはプロに近いと評価されました。ただ教員ら50人の評価では、紛らわしい選択肢づくりと問題の完成度は、入試を作るプロのほうが上だったんです。
では、ChatGPT のような生成 AI が作る英語の問題はどうでしょうか。
Shin と Lee (2023) は、韓国の大学入試の英語読解問題を使って比べました。
韓国の大学入試 (CSAT) は、日本の大学入学共通テストにあたる試験です。
本物の読解文 5 本と選択式問題を、ChatGPT に同じ形で作らせたものと並べました。
どちらがどちらか知らされていない教員・教員志望者 50 人が、アンケートで評価しました。
結果は、得意と苦手がはっきり分かれました。
英文の流れや表現の自然さは、入試問題と ChatGPT で同じくらいと受け止められました。
一方、選択肢の魅力と、問題としての完成度は、専門家が作った入試問題のほうが高いと判断されました。
選択肢の魅力とは、「よくできた紛らわしい選択肢」のことです。
良い 4 択では、間違いの選択肢 (誤答選択肢) も「ありそう」に見えます。
すぐ消せる選択肢ばかりだと、ちゃんと読まなくても正解できてしまいます。
AI の長文はプロと見分けがつかないほど自然でも、選択肢づくりはまだ職人技に届かなかった、という結果です。
なお、この評価は人の印象であり、学習者の成績への効果は測っていません。
英語以外の分野でも、似た弱さが報告されています。
Grévisse ら (2024) は、GPT 系の AI が作った 4 択問題を、問題作りの指針と照らして調べました。
対象はコンピュータ科学と医学で、英語学習ではありません。
AI は 4 択を効率よく作るのに役立つ一方、ときに正解があいまいな問題を作りました。
ありえない誤答選択肢、つまり一目で消せる選択肢を作ることもありました。
著者は、問題と授業の内容がずれないよう、人のチェックが必要だとまとめています。
ここまでのまとめ: ChatGPT の英語読解問題は、文章の自然さではプロに近かった。しかし選択肢の出来と問題の完成度ではプロが上で、他分野では正解があいまいな問題も報告されている。
実用化した研究でも「人のチェック」が入っていた

英語の試験でも、AIの問題をそのまま使ってるんですか?

実は違うんですよ。英語試験の練習テストで実際に出題した研究でも、人による内容チェックと受験者の解答データという2重の検品を通してから使っていました。
AI の問題を、実際の試験づくりに使った研究もあります。
Attali ら (2022) は、Transformer 型の言語モデルで読解問題を作る方法を報告しました。
Transformer とは、今の生成 AI の土台になっている仕組みです。
文章の中でどの言葉どうしが関係しているかを、一度に見渡して次の言葉を予測する技術です。
この研究では、読解用の英文と多様な問題を、まとめて自動で作りました。
数百の英文と数千の問題を、英語試験 Duolingo English Test の練習テストで実際に出題しました。
そして、人による内容のチェックと、受験者の解答データの分析を合わせて、実用できると示しました。
機械が作った問題を、人の目と解答データという 2 つのフィルターに通してから使う、工場の検品ラインのような仕組みです。
AI の出力をそのまま使った結果ではない、という点が大事です。
Bezirhan と von Davier (2023) は、GPT-3 で小学 4 年生向けの英語の読解文を作りました。
GPT-3 は、ChatGPT より前に公開された大規模言語モデルです。
大規模言語モデルとは、ものすごい量の文章を読んで「次に来そうな言葉」を予測できるようになったプログラムです。
この研究では、既存の英文を手本に複数の案を作らせました。
その中から、元の英文と難しさの値が近いものを選びました。
そして正確さを保つため、人の編集者が文法と事実の誤りを直しました。
その上で、人の審査員は、まとまりや読みやすさの点で人が書いた英文に近いと評価しました。
この研究は問題ではなく、読解用の英文そのものを作ったものです。
そして高い評価は、人が赤ペンを入れた後の評価でした。
ここまでのまとめ: AI の問題や英文を実際に使った研究でも、人による内容チェックや誤りの修正が組み込まれていた。AI 単独の出力をそのまま使った結果ではない。
間違った4択で練習すると、間違いを覚えてしまうことがある

えっ、4択で間違いを選ぶと、それを覚えちゃうんですか?

そうなることがあります。ただ選択式テストの実験では、答え合わせをすると、前に見た間違いの選択肢を答えてしまう割合が減ったと示されています。
ここが、AI の小テストでいちばん気をつけたい点です。
問題や選択肢に誤りが混じっていたら、何が起きるのでしょうか。
Butler と Roediger (2008) は、選択式テストの「良い面と悪い面」を調べました。
選択式テストは記憶を助けます。
しかし、間違った選択肢に触れることで、誤った知識を身につけてしまうことがあるのです。
4 択でうっかり選んだ間違いが、「正解」として頭に住みついてしまうイメージです。
この研究では、文章を読んだ後に選択式テストを受けてもらいました。
そして答え合わせを「すぐ」「後で」「なし」の 3 つの条件で比べました。
答え合わせなしと比べ、すぐでも後でも、答え合わせをすると後日の記述テストの正答が増えました。
さらに、前のテストの間違った選択肢を答えてしまう割合が減りました。
著者は「選択式テストを使うなら、答え合わせを与えるべきだ」と結論づけています。
ここからは推論ですが、AI の 4 択に「正解があいまいな問題」が混じっていたとします。
その場合、答え合わせをしなければ、間違いを覚えてしまう心配はさらに増えると考えられます。
しかも答え合わせの「正解」そのものが AI の誤りなら、答え合わせでも直りません。
ChatGPT を英語学習に使うときの得意・不得意の全体像は、ChatGPT で英語を勉強するのは本当に効くのかを世界の研究で確かめた記事で整理しています。
ここまでのまとめ: 4 択には間違った選択肢を覚えてしまう面があり、答え合わせでそれが減った。AI の問題では、答え合わせの「正解」自体が正しいかも確かめる必要がある。
研究から導けるAI小テストの使い方|4つの注意点
ここまでの研究から、論理的に導ける使い方を 4 つにまとめます。
1 つ目は、答え合わせを必ずすることです。
選択式テストでは、答え合わせで間違いの定着が減りました。
教室の小テストの研究でも、フィードバックの有無が効果を左右する条件の 1 つでした。
2 つ目は、正解の根拠を辞書や元の英文で確かめることです。
AI の問題には、正解があいまいなものが混じることが報告されています。
AI に英文を作らせた研究でも、人が文法や事実の誤りを直してから評価していました。
AI が示す正解は、自分で 1 回確かめてから覚えるのが安全です。
3 つ目は、4 択だけでなく、自分で思い出して書く形式も混ぜることです。
思い出して書く形式は、選ぶ形式より大きなテスト効果が出ていました。
しかも書く形式なら、AI の作った紛らわしい選択肢を目にすることもありません。
たとえば「日本語を見て英単語を書く」「英文を読んで要点を 1 文で書く」形に頼むと、選択肢の質に左右されにくくなります。
4 つ目は、一度で終わらせず、もう一度解き直すことです。
一度正解した単語も、思い出す練習を続けたほうが後日の記憶に残りました。
教室の研究でも、テストのくり返し回数が効果を左右していました。
同じ単語を、もう一度思い出す問題として出してもらうとよいでしょう。
ここまでのまとめ: 研究から導ける使い方は「答え合わせ」「根拠の確認」「書く形式を混ぜる」「解き直す」の 4 つ。どれも上達の大きさを約束するものではない。
まだ分かっていないこと|AIの問題で練習した効果の研究は少ない

結局、AIの小テストで英語が伸びた研究はあるんですか?

正直に言うと、まだ少ないんです。近い研究は1本ありますが、去年の学年と今年の学年を比べた形で、しかも英語ではなく教育学の授業での結果でした。
最後に、研究で言えることと言えないことを線引きします。
小テストの効果、AI の問題の質のばらつき、答え合わせの役割は、ここまでの研究で言えます。
言えないのは「AI に作らせた英語の小テストで練習すると、これだけ伸びる」という話です。
AI が作った英語の問題で練習した効果を、直接確かめた研究はまだ少ないのが現状です。
近い研究としては、Yusof (2025) があります。
マレーシアの大学の教育学部の授業で、ChatGPT で問題を作り、すぐ答え合わせをする思い出す練習を行いました。
ChatGPT を使った学年は、使わなかった前の学年より期末試験の成績が高かったと報告されています (各 64 人)。
ただし、この研究は「去年の先輩と今年の後輩」を比べたような作りです。
くじ引きで組を分けた実験ではないので、学年ごとの違いも結果に混ざります。
しかも英語学習ではなく、教育測定の授業での結果です。
著者自身も、複雑な学びには AI の支援を人のフィードバックで補う大切さを強調しています。
「AI のおかげで伸びた」とは言い切れない、と読むのが正確です。
ここまでのまとめ: 「小テストは効く」「AI の問題の質にはばらつきがある」「答え合わせが大事」は言える。AI の英語小テストで伸びる効果そのものは、まだ確かめられていない。
「思い出す」と「答え合わせ」をAIの小テストで満たせるか
研究が示した条件は、大きく 2 つでした。
1 つは、自分で思い出す練習をすること。
もう 1 つは、正しい答え合わせを受けることです。
では、AI に作らせた小テストで、この 2 つを満たせるのでしょうか。
1 つ目の「思い出す練習」は、AI でも満たしやすい条件だと考えられます。
AI は問題を手軽に、何度でも作れます。
書く形式で頼めば、選択肢の出来に左右されずに思い出す練習ができます。
実際、ChatGPT で問題を作って思い出す練習をした授業の報告もあります。
ただしこれは英語ではなく、組分けもくじ引きではない研究でした。
難しいのは 2 つ目の「正しい答え合わせ」です。
AI の 4 択には、正解があいまいな問題が混じることが報告されています。
試験づくりや英文づくりの研究でも、人のチェックを通していました。
つまり AI の小テストでは、答え合わせの「正解」を学習者が自分で確かめる役を担う必要があります。
AI の答えは必ず正しいとも、必ず間違うとも言えません。
この点を AI の英語問題で検証した研究はまだ少なく、今のところ「作るのは AI、確かめるのは自分」という分担が研究と整合する形です。
ここまでのまとめ: 思い出す練習は AI でも満たしやすい。正しい答え合わせは AI 任せにできず、正解の確認は学習者が担う必要がある。
よくある質問
Q1. ChatGPT に作らせた英単語クイズで、本当に覚えられますか?
A. 思い出す練習そのものは、読み直しより記憶に残りやすいと多くの研究で示されています。ただし AI の英語クイズで練習した効果を直接確かめた研究はまだ少なく、答え合わせを必ずすることが前提です。
Q2. AI が作った問題や答えが間違っていたらどうなりますか?
A. 4 択の研究では、間違った選択肢を覚えてしまうことがあり、答え合わせでそれが減りました。AI の正解自体が誤っていることもあるので、辞書や元の英文で根拠を確かめてから覚えましょう。
Q3. 4 択と書く問題、どちらを作ってもらうのがいいですか?
A. 研究では、選ぶ形式より自分で思い出して書く形式のほうが、テストの効果が大きくなりました。4 択だけでなく、日本語を見て英単語を書く形式なども混ぜるのがおすすめです。
Q4. AI の英語の問題は、プロが作る問題と同じ品質ですか?
A. 同じとは言えません。ChatGPT の読解問題を比べた研究では、英文の自然さは近かった一方、選択肢の出来と問題の完成度は専門家の問題が上と判断されました。
Q5. 市販の問題集の代わりになりますか?
A. 研究からは、そのまま代わりになるとは言えません。AI の問題は手軽に作れますが、正解や問題の質を自分で確かめる手間が必要です。問題集と組み合わせて使うのが無難です。
まとめ
読み直すより、自分で思い出す小テストのほうが記憶に残りやすいことは、多くの研究で示されています。
一方、AI が作る英語の問題は、文章は自然でも、選択肢の出来や正解のあいまいさに弱さがあります。
4 択の間違いは答え合わせで減らせますが、その正解が正しいかは自分で確かめる必要があります。
AI に作らせた英語の小テストで伸びる効果そのものは、まだ確かめられていません。
次に AI にクイズを頼むときは、書く形式を混ぜ、答えを辞書で 1 回確かめてみましょう。
参考文献
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- Butler, A. C., & Roediger, H. L. (2008). Feedback enhances the positive effects and reduces the negative effects of multiple-choice testing. Memory & Cognition, 36(3), 604-616. https://doi.org/10.3758/MC.36.3.604
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最終更新日: 2026-11-07
著者: 中村 拓(Taku Nakamura)(greencafe 編集部 編集責任者・非ネイティブ話者)。公開された 12 件の研究エビデンス(tier 1=9 / tier 2=3)を横断分析・再構成した。
画像: いらすとや (https://www.irasutoya.com/) より
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